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健康相談Q&A

2020年6月30日

大腸内視鏡検査は腸に穴が開くことがあるって本当?

大腸内視鏡検査とは

 大腸内視鏡検査は、ファイバースコープを肛門から挿入し、直腸、大腸に異常がないかどうかを調べる検査です。病変を先の小さな鉗子でちぎることやポリペクトミー(通電させポリープの根元を焼き切ること)により組織を採取し、顕微鏡で調べることができます。定期的に検査することで、早期に大腸がん・直腸がんを見つけることができます。
 

検査の懸念点

  ただ、この大腸内視鏡検査は絶対に安全な検査とは言えません。検査の合併症として腸の穿孔(穴が開くこと)や出血などがあります。これらの事故の発生率は検査医の技量に大きく左右され、施設によってもかなりの差が見られます。シンガポールでは統計上、穿孔の発生率は 0.03~0.17%(ポリペクトミー施行時は0.3%)、出血の発生率は0.03~0.09%(ポリペクトミー施行時は1.4%)です。出血は内視鏡で止血できることが多いですが、穿孔した場合、大半は緊急で開腹手術を行わなければなりません。

 
 また、大腸内視鏡検査の前処置として多量の下剤を内服し腸をきれいにする必要があるのですが、この内服によって、吐き気、嘔吐、まれですが腸の穿孔が起こることもあります。心臓、腎臓に疾患のある方は下剤の内服によって病状が悪化することがあるので、絶食点滴などで前処置をおこなわなければならないことがあります。
 

大腸内視鏡検査を受けたほうが良い場合

 これらの合併症などを考慮して、大腸内視鏡検査を受けることをお勧めする方は以下の方々です。
 

  1. 突然の便秘や便柱狭小化(細い径の便が出るようになること)がある方。腫瘍などで便の通り道が狭くなっている可能性があります。
  2. 長引く下痢のある方。潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の可能性があります。
  3. 便に血液が混ざる方。大半は痔からの出血であると考えますが、便潜血が陽性の方も含め大腸内視鏡での出血源の確認をお勧めします。
  4. 50歳以上の方。統計上50歳前後で大腸がんや直腸がんの罹患率が一気に上がります。
  5. 以前に大腸ポリープや直腸ポリープを指摘された方。腺腫(放置すると、がんになる可能性があるポリープ)、悪性所見があるポリープ、茎がなくくびれのないポリープ、大きさが1㎝を超えるポリープ、数が10を超えるポリープは、完全に切除されていても3年以内に再検査されることをお勧めします。
  6. 親子・兄弟などが大腸がん、直腸がんもしくは腺腫を発症した方。60歳未満で大腸がん、もしくは、直腸がん、腺腫を発症した血縁者がいれば、40歳もしくはその血縁者が発症した年齢より10歳若い年齢のどちらか若い方の年齢で検査を受けられることをお勧めします。遺伝性のものを強く疑えば、1、2年毎の検査が必要です。

 

検査終了後の注意点事項

大腸内視鏡検査終了後は、下記に注意しましょう。
 

  1. 鎮静剤を用いた場合は、車の運転などはせず休養を取って下さい。
  2. 当日の食事は刺激物やアルコールを避け、消化の良いものを控えめに摂って下さい。
  3. ポリープ切除術をした場合は、数㎜大の小さなポリープであっても最低1週間、大きいポリープや複数のポリープでは2週間、飲酒や熱い風呂は避けて下さい。
  4. 腹痛や腹部膨満、血便があれば、すぐに検査医に連絡して下さい。

取材協力=日本メディカルケアー 医師・白石 勉

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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