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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2018年2月28日

3月・4月は異動のピークシーズン ~今年の注意事項~

《着任時の住まい探し》
1. エンプロイメント・パス(EP)申請は早目が安全
昨年と比べEPの審査が大変厳しくなっており、また、発給審査が長引くケースが急増しています。申請は早目が安全です。シンガポール政府は今後、シンガポール人の高学歴者が好む職業、例えばホワイトカラーの専門職や高級技術者職など(PMETs)年5,500人分の職業機会を創出すると宣言していますが、その少なからざる部分は、EPやS Passを保有する外国人を置き換えたり、増員ポストをシンガポール人雇用に振り当てさせるのでは、との憶測もあります。EP申請が直ちには認可されず、申請者に対して、シンガポール人雇用に関連した各種質問事項への回答を求められることが多い上に、2~3回はQ&Aのやり取りがあり、以前であれば1ヵ月程度で下りていたEP申請の承認に2ヵ月以上かかるケースも頻発しています。住宅を会社名義で押えていても、EPがなかなか発給されないために空のままにしていたり、手付け流しで解約せざるを得ないケースも増えています。

 

年齢60歳以上の方のEP申請は原則却下される、などというのもかつては聞いたこともありませんでした。また、シンガポール政府の労働政策に沿わない雇用状況の外国企業が、ウォッチ・リストと呼ばれるリストに登録され、新規EP発給が凍結されてしまう場合もあり、現在、日系企業が30数社登録されているとも言われています。「転ばぬ先の杖」で、専門家に事前相談して申請するのも一策です。

 

2.更に加熱するEn Bloc(一括売却)による再開発フィーバー
2017年12月号コラム記事執筆後も、西海岸の大型コンドミニアムPark West 436戸が、8億4,000万Sドルで、デベロッパーに一括売却が成立。En Bloc saleは、原則として所有者の80%以上が合意の上、入札を実施し、買い手が付けば一括売却が成立。所有者は、通常半年から1年以内に明け渡す必要があります。

 

入札実施時の希望値が高いとなかなか売買成立しませんが、現時点で報じられているEn Bloc予定のプロジェクト(一部商業不動産を含む)は次の通りです。

 

【2月入札】Hollandia / City Towers / Kovan Apartments / Balmoral Gardens / Dunearn Gardens / ICB Shopping Centre / Ampas Apartments
【3月入札】China Town Plaza / Goodluck Garden / Makeway View / Eunos Mansion
【4月入札】Far Horizon Gardens / Mandarin Gardens / Tanglin Shopping Centre / Leonie Gardens / Ivory Heights / Sim Lim Square / Ridgewood / Nim Gardens / Cashew Heights / Spring Grove / Pine Grove / Braddell View / City Plaza

 

「EP発給厳格化」は、住宅賃貸相場下げ要因、「En Bloc sale」は、上げ要因です。

 

《退去・明け渡し時の注意事項》
1.退去・明け渡し検査の揉め事、増える
賃貸市況が好況の時には鷹揚だった家主さんも、懐具合が悪くなってくると明け渡し検査を厳しくして、クレームの取りこぼしを少なくしようと考えます。清掃は、日常清掃程度では不十分(特にキッチン、ヤード、バスルーム)なので、結局は専門業者に頼むのがお得です。

 

2.「内見非協力」が、最も高額のクレームになる
契約上2ヵ月前から家主に認められている「後釜テナントを探すための内見」を断り続けると、権利侵害で、1~2ヵ月分の家賃相当額を請求されることがあるので、特に注意・配慮が必要です。

文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO、シンガポール宅建士)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.331(2018年3月1日発行)」に掲載されたものです。

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