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2017年5月29日

リトルインディア

19世紀のインド系移民が起源

リトルインディアの歴史は1840年代にまで遡る。シンガポール都市再開発庁(URA)によると、英国の植民地政策によって南インドからインド人がシンガポールに多く移住してきたことが始まりだ。その後インド東部や北部からも労働者が移り住むようになり、セラングーンロード付近に集まるようになったという。

 

またURAによると、同エリアには1940年代頃までインド系だけでなく、ヨーロッパ系や中華系などさまざま人種が居住していたという。現在リトルインディアにはヒンドゥー教の寺院だけでなく、モスクや仏教寺院、教会も残っており、多様なバックグラウンドを持った人達が住んでいた名残を感じ取ることができる。

 

インディアン・ヘリテージセンターによると、19世紀から20世紀初頭にかけては、農業やレンガの製造、家畜の飼育などがこのエリアの主要産業だった。1915年になるとテッカマーケットがセラングーンロード沿いに整備され、20世紀前半まで地域のランドマーク的な存在として賑わっていたという。しかしテッカマーケットは1982年に廃止され、そこで商売をしていた人の多くは、セラングーンロードを挟み向かい側にある、現在のテッカセンターのある場所へ移っていった。この場所は当初ズジャオマーケットと呼ばれていたが、テッカマーケットの役目を引き継ぐ場所として、2000年にテッカセンターと改名された経緯がある。

 

また1970年代まで、セラングーンロード付近には約6万人もの人が居住していたが、住居は狭く衛生状態も悪かったという。こうした環境を改善するため、政府の住宅政策によって住民の多くはほかのエリアに建設されたHDBへ移り住むようになり、町並みは整備されていった。

 

近年では、2010年に公園とショッピングモールが一体化したシティ・スクエア・モールが完成するなど、リトルインディア周辺は古い建物と新しい建物が混在したエリアとなっている。ムスタファ・センター付近の散策に疲れたら、すぐ近くにあるシティ・スクエア・モールで一休みするのもいいだろう。(取材協力:インディアン・ヘリテージセンター)

 

リトルインディアのおすすめスポット
インド・マレー映画専門のシアター「REX」

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322web_REX(sub)_IMG_5886MRTリトルインディア駅の近くには、インド系・マレー系の映画を専門に上映する映画館「REX」がある。開業は1946年で、古くから多くのインド系住民に親しまれてきたというこの映画館、2015年にはニコル・ハイウェイ沿いにあるゴールデンマイルタワーに2号館がオープンした。リトルインディアで働くカシブさんによると、REXはインドやマレー映画の最新作が楽しめる貴重な場所として、地元の人達から根強い人気があるという。上映時は英語の字幕も表示されるので安心。歌や踊りを織り交ぜた作風が特徴のインド映画。「ムトゥ踊るマハラジャ」などは日本でも有名で、ファンの方もいるのではないだろうか。最新作を見に足を運んでみるのも面白いかもしれない。

 

住所:2 Mackenzie Road (S) 228673
http://www.rexcinemas.com.sg

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.322(2017年6月1日発行)」に掲載されたものです。

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