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2017年4月25日

ブギス

インドネシアからの移民が起源

ブギスの歴史の始まりは1819年頃にまで遡る。シンガポール国立博物館のイスカンダル・ビン・マイディンさんによると、インドネシアのスラウェシに住んでいた海運業を営む人々がこのエリアに移住してきたのがその起源とされ、19世紀から20世紀半ばにかけて、ブギス近くを流れる川の流域はインドネシアとの交易で栄えたとされる。現在の地名は、マレー系の部族であるブギス族から来ているそうだ。1950年代以降は、ブギス・ストリート付近で女装した男性によるキャバレーショーが行われるなど、怪しい魅力を持つエリアだったというブギスだが、1980年頃から再開発が進み、現在の町並みへと変わっていった。

 

またブギス駅近くのミドル・ロード周辺は、第二次世界大戦前まで日本人が経営する旅館や店舗が多く集まり、日本人街と呼ばれていた時期があったことでも知られ、シンガポールに住む日本人にとっても重要なエリアだった。戦後、シンガポールに住んでいた日本人の多くが強制送還される中、ユーラシア系やユダヤ系の人々がこのエリアに移り住むようになったという。

 

またマイディンさんによると、隣接するブラスバサーエリアは、もともとトーマス・スタンフォード・ラッフルズ卿によって、ヨーロッパ系住民のために整備されたエリア。19世紀から第二次世界大戦前にかけては、シンガポールの中でも人種の多様性に富んでいたといい、ヨーロッパ系のみならず、プラナカンを含む中国人やマレー人、インド人などさまざまな人種の人々が居住していた。当時は建物のバラエティも豊かで、仏教やシク教の寺院やモスク、シナゴーグ(ユダヤ教の会堂)などが多く存在していたという。戦後は再開発によって、古い建物が取り壊わされる一方、1990年代にかけてナショナルライブラリーなどが整備され、アートの拠点としての性格が強くなっていった。

 

金融・ビジネスの拠点としてのブギス

321web_Building_IMG_7151シンガポール都市再開発庁(URA)は、ブギスをシンガポールにおける新たな金融・ビジネスの拠点として位置づけており、商業施設などを整備する方針を掲げている。現在、MRTブギス駅近くでは、地上49階建ての住宅や商業施設などで構成される複合施設「DUO」が建設されており、今年竣工の予定。施工業者の大林組によると、商業棟と住宅棟が向かい合うように立つこの建物は、シンガポールの新しいランドマークとして注目されているという。

 

このほかブギスには、高速道路「ノース・サウス・エキスプレスウェイ」が通る予定となっており、建設に伴いMRTブギス駅近くにあるロチョー・センターは近く取り壊される見通し。同エリアのランドマークだったカラフルな建物も今では人気がほとんどない。今後も同エリアは、再開発で大きく景観が変わっていくことになりそうだ。

 

芸術活動の拠点や歴史的建造物も多い一方で、ショッピングやビジネスの場など多様な顔を持つブギス。今後どのように変化していくのか楽しみなエリアといえそうだ。(取材協力:Bras Basah Bugis http://brasbasahbugis.sg

 

ブギスのおすすめスポット
バラエティ豊かな乾物店が集まるアルバートセンター

ブギスストリートの裏手にあるアルバートセンターの3階には、乾物を扱う店が集まる。1階はホーカーセンターになっているこの建物、階段を上ると乾物特有の匂いが漂ってくる。各ショップには魚介類や椎茸、海藻などさまざまな食材が並ぶ。魚介類の乾物店を営むチンさんは「ここで売られている乾物は、チャイナタウンなどほかのエリアに比べて安いのが魅力。観光客も多く訪れます」と話す。またチンさんによると、特にスープ用のナマコなどがお土産用に人気なのだそう。独特の味わいがあるドライフルーツなども売られており、はまると癖になるかも。ここに来れば他とはまた違ったお土産を買うことができるだろう。

 

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住所:270 Queen St, Singapore 180270

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.321(2017年5月1日発行)」に掲載されたものです。

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