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ドクター・グリーンのワンポイント医療情報

2016年7月18日

長引く咳と感染症(マイコプラズマ感染について)

咳が長引く原因の一つに、マイコプラズマ感染があります。マイコプラズマはウイルスと細菌の中間の微生物に分類され、分裂が非常に遅いという特徴があります。
インフルエンザウイルスのように2日程度で感染がピークに達する感染症であれば、最初から激しい症状が出るため早期に診断できるのですが、マイコプラズマは2~4週間ほどかけてゆっくりと増えるため、症状も最初は意外と軽く(乾いた咳が長く続き、発熱がないことも多い)ただの風邪だろうと思ってしまい、その結果肺炎に進展してしまうことが多いのです。
まず大事なことは、乾いた咳の原因として、咳喘息やアトピー咳嗽(がいそう)とともにマイコプラズマ感染の可能性も考慮することです。
血液検査でマイコプラズマの抗体価を測定し、診断することもできますが、学校や家族の中にマイコプラズマ感染者が出た場合は、検査せずにマイコプラズマ感染に有効であるマクロライド系抗生剤を開始するケースもあります。
マイコプラズマのもう一つの特徴として、マイコプラズマに対するアレルギー反応が出る場合があります。喘息の症状が出たり、肺炎が重症化したりするケースがあるということです。喘息持ちの患者さんは特に注意が必要といえます。
咳が長引く場合、適切な鑑別が重要です。早目に呼吸器内科を受診しましょう。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.306(2016年7月18日発行)」に掲載されたものです

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