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ドクター・グリーンのワンポイント医療情報

2016年6月20日

ジカ熱

中南米を中心に、ジカウイルス感染症が多数報告されています。ジカウイルスを持った蚊に刺されることで感染します。基本的に、感染したヒトから他のヒトに直接感染するような病気ではありませんが、輸血や性行為によって感染する場合もあります。症状は軽く、2~7日間続いた後に治り、病後の経過が比較的良好な感染症です。

 

しかしジカウイルスは母体から胎児への感染を起こすことがあり(先天性ジカウイルス感染症)、小頭症などの先天性障害を起こす可能性があるため、妊婦および妊娠の可能性がある方は、可能な限り流行地域への渡航を控えることが大切です。世界保健機関(WHO)は、妊婦は流行地域への渡航をすべきでないと勧告しています。

 

感染予防に有効なワクチンはありません。症状は、流行地域で蚊に刺されてから数日後に、軽度の発熱、発疹、結膜炎、関節痛、筋肉痛、倦怠感、頭痛等が見られますが、症状が軽いため気付きにくいこともあります。治療方法に関しては、特効薬が見つかっていないため対症療法となります。

 

また性行為により、男性から女性パートナーへの感染伝播が疑われる事例が報告されています。流行地域から帰国した男性は、症状の有無にかかわらず最低4週間、パートナーが妊婦の場合は妊娠期間中、性行為を控えるかコンドームを使用することが推奨されています。また流行地域から帰国した女性は、帰国から最低4週間は妊娠しないことが推奨されています。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.304(2016年06月20日発行)」に掲載されたものです。

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