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シンガポールモザイク

2012年11月19日

ショップハウスから眺める、マレー・中華・インド文化

東南アジア各地で見られるショップハウス群。カラフルな壁の色、文様の美しいタイル、彫刻が施された窓枠や壁の装飾など、独特の魅力を持っています。シンガポールにもショップハウスが軒を連ねる通りは数多くありますが、同じショップハウスという器を通して各民族の文化的特徴が見えてくるのでは、という仮説のもと、特に民族色の強いカンポングラム、チャイナタウン、リトルインディアに出かけてみました。3つの街のショップハウスめぐりに、しばしお付き合いください。

ショップハウスのスタイル

アーリー・ショップハウス(Early Shophouse)1840年代~1900年代

1840年代に建てられた古いショップハウスは、ほとんどが2階建てで高さも低め。簡素な装飾で2階の窓の数も1つかせいぜい2つ。

 

ファースト・トランジション(First Transition) 1900年前後

背の高いショップハウスが増えて、古代ギリシアやローマの建築様式の影響を受けた頭柱などが登場。2階以上に窓を2つ持つものがほとんど。

 

レイト・ショップハウス(Late Shophouse) 1900年代~1940年代

裕福な住民が増えて壁や柱の装飾もより華やかに。通気性を良くするため、2階以上の窓の数が3つに増え、マレー式の透かし彫りが施された木製の軒とフランス窓を持つ、といった複数の文化がミックスされたショップハウスも増加。

 

アールデコ 1930年代~1960年代

3階建てあるいは4階建てと高さがあり、華美な装飾を排したシンプルなスタイル。柱やアーチの最上部にはめるキーストーンなどにアールデコ様式の特徴でもある幾何学的なデザインのものが多く見られる。

 

 

カンポングラム
Kampong Glamマレー色豊かな歴史あるショップハウス群

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カンポングラムと呼ばれるエリアの中で、オフィール・ロード(Ophir Road)の1本内側にあるアラブ・ストリート(Arab Street)や、サルタン・モスクの正門へと通じるブッソーラ・ストリート(Bussorah Street)などには、2階建てでちょっと低めのアーリー・ショップハウススタイルを多数見つけることができます。カンポングラムがそれだけ古い歴史を持つ街であることの証ともいえるでしょう。

 

この辺りのショップハウスも壁の色はカラフルですが、パステルカラーなどやわらかめの色が多く、リトルインディアやチャイナタウンとは違うたたずまい。そのほとんどがムスリムであるマレー系コミュニティの中心地らしさが、アラベスク模様のタイルを使ったショップハウスの壁などにも見られます。

 

チャイナタウン
China Town中華系の中に多国籍な要素をミックス

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チャイナタウンは、その大半がショップハウスと言っても良いほどで、いくつもある通り沿いにショップハウスが軒を連ねています。

中華系の色彩がより強く見られるのが、スミス・ストリート(Smith Street)。壁や窓枠の色に赤が使われているショップハウスも多く、中国茶のお店やフカヒレ、ツバメの巣など中華料理の素材を専門に扱う店なども軒を連ねています。モスク・ストリート(Mosque Street)界隈には小ぎれいなショップハウスが数多く存在。その多くはレイト・ショップハウスのスタイルで、シックな色使いが洗練された印象を与えます。この辺りにはバックパッカー向けの宿や、老舗の菓子店などがさりげなく並んでいたりします。

仏牙寺に近いサゴ・ストリート(Sago Street)、そのひとつ隣のテンプル・ストリート(Temple Street)、チャイナタウンのメインストリートであるパゴダ・ストリート(Pagoda Street)など、通りによっても異なるショップハウスの表情が楽しめます。

 

リトルインディア
Little India裏通りのショップハウス群にも要注目

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リトルインディアのメインストリートであるセラングーン・ロード(Serangoon Road)やジャラン・べサル(Jalan Besar)はもちろん、キャンベル・レーン(Campbell Lane)やダンロップ・ストリート(Dunlop Street)、アッパー・ディクソン・ロード(Upper Dickson Road)などの裏通りにも、個性豊かなショップハウスがたくさん建ち並んでいます。リトルインディア界隈には、アーリー・ショップハウスからファースト・トランジション、レイト・ショップハウス、アールデコまで幅広い年代のショップハウスが残っているので、建物の高さや窓の数を確かめながら、各スタイルの特徴を探して歩くのも一興。

 

カラフルな壁の色もリトルインディアのショップハウス群の特徴です。赤や青、黄色、紫、緑、黄緑、ピンクなど南国の鳥たちを思わせる極彩色が、暑い日差しの中にも映えます。

 

ムスタファセンターの裏手にあるサイド・アルウィ・ロード(Syed Alwi Road)沿いも、色鮮やかな壁の色や、美しいタイルを持つショップハウスが並ぶ穴場スポット。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.224(2012年11月19日発行)」に掲載されたものです。
文= AsiaX編集部

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