2016年10月17日
シンガポーリアンを虜にする「Singapore Pools」の秘密
体験してみると意外に手軽
人気の秘密を体験するべく、近所にある窓口で実際に4DとTOTOを購入してみました。4Dは0000~9999から4ケタの数字を一つ選ぶもので、抽選日と適当な数字を選択して2組購入してみました。TOTOは1から49までの数字の中から1組6つの数字を選びます。購入した3組のうち、2組は自分で番号を選び、1組は機械が数字を自動選択する「Quickpick」で購入しました。今回はオーソドックスな選び方にしましたが、購入方法のバリエーションが豊富なので窓口に行って隣の人の買い方を真似してみるのも、ネットで調べてから行くもよし。これが1Sドルから気軽に楽しめるSingaporePoolsの醍醐味でしょう。
また、SingaporePoolsは興味深い迷信があることでも知られています。有名なのが「交通事故の現場に遭遇した時、その車両番号をメモして買うと当たる確率が高い」というもの。「事故車両の数字でも、その番号には様々な意味で“パワー”があると考えられているからです」と話すのは月に3回は窓口に足を運ぶフォン・チョンウェンさん。「最近、携帯を紛失した時も、職場の友人から『その電話番号と同じ数字のくじを買いなさい』と急かされました(笑)。良くない事があってもくじを買って、悪い運気を吹き飛ばせという意味合いもあるのかもしれません」(フォンさん)。
日本でも東京・有楽町にある宝くじの人気窓口には発売開始の前夜から行列ができる話が有名ですが、シンガポールも例外ではありません。例えば今年2月11日に950万Sドルの当選券が出たMRTコヴァン駅に近いある窓口など、過去に高額くじが出た売り場には10メートル以上の長い行列ができることもしばしば。こうした熱狂ぶりに釘を刺すかのように、シンガポール国立大学で統計学の教鞭をとるチュア・ティン・チウ教授は「TOTOで確実に当てるなら約14億通りある組み合わせ全部を買うしかありません。抽選は常にランダムに行われており、特定の売り場や数字に運があるわけではない」とコメントしています(『THE STRAITS TIMES』2016年2月18日付)。
さて実際に買ったくじの結果ですが、公式サイトと窓口の両方で照会したところすべて外れていました。気ままに、時にマイペースに生きているように見えるシンガポーリアンですが、億万長者を夢見る気持ちは万国共通のようです。彼らが夢中になり、熱狂するSingaporePools、一度試してみてはいかがでしょうか
Singapore Pools
http://www.singaporepools.com.sg
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.312(2016年10月17日発行)」に掲載されたものです。 取材・写真:宮崎 千裕