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熱帯綺羅

2016年9月5日

現代に息づく伝統の灯 中秋節の夜を彩るランタン

後世へ伝統を繋ぐツールとしても活用

 日本でランタンというと、先に紹介した軒先に吊るすサイズ、または手に持てる程度のサイズを思い浮かべますが、中華圏ではモニュメントのように大きなもの(花燈)もランタンの一種。中国や台湾などでも中秋節にはこれらが登場する盛大なランタンフェスティバルが行われています。
シンガポールで大規模なランタン飾りが見られる場所と言えば、MRTチャイナタウン駅近くのユートン・セン・ストリートや、サウスブリッジ・ロード。この界隈では年ごとに趣向の違うランタンが飾られ、夜になると幻想的な雰囲気に包まれます。
今年は中秋節の起源と歴史の再発見がメインコンセプト。中秋節の由来とされている、弓の名手であった羿(げい)とその妻である嫦娥(じょうが)の悲恋の故事がモチーフのランタンが多く飾られています。このランタンフェスティバルを主催するクレタ・アヤ-キム・セン市民諮問委員会(Kreta Ayer – Kim Seng Citizens’ Consultative Committee)によれば、このイベントを通じて伝統文化を後世に残したいという思いがあるといいます。
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実際に今年の見所である12メートルの嫦娥を模ったランタンは、南洋芸術学院(Nanyang Academy of Fine Arts : NAFA)の学生たちによってデザイン・制作がなされました。参加した学生の1人、チュア・ジアホンさんは「この活動を通して、今まであまり馴染みのなかった中秋節の由来についてより深く知ることができました。伝統的なランタンにLEDライトという新しいテクノロジーを融合させたことで話題性も高く、若い世代の興味を引くきっかけにもなると思います」と語ってくれました。
また同委員会は6歳から16歳までの子供たち約500人が参加する大規模なランタンデザインコンテストなども開催しており、中華圏だけでなく他の文化圏の子どもたちにも広く参加を呼びかけています。このようにランタンは祭りを彩る飾りとしてだけではなく、昔の伝統を今に伝えるツールとしても積極的に活用されているのです。
街を華やかにライトアップするランタンにも、軒先に吊るされているランタンにも、昔ながらの文化や人々の願いが込められています。これらに思いを馳せながら、今年の中秋節は月とともにランタンを愛でてみてはいかがでしょうか。4

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.309(2016年9月5日発行)」に掲載されたものです。 取材・写真:長島 清香

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