2009年4月6日
シンガポールで出会う、ジム・トンプソンの流儀。
小説家のサマセット・モームは、「美しいものがたくさんあるだけじゃない。それを申し分なくインテリアにアレンジしたあなたのテイストが本当に素晴らしい。」と称したそう。その言葉からも、トンプソンが天性のデザイン力、色彩のセンスを持ち合わせており、「ジム・トンプソン」のシルクに活かされたことが裏付けられるはず。
当時訪れたゲストに供されたのは、伝統的なタイ料理の数々と彼のために忠実に仕える使用人達の心意気。NYやヨーロッパからの著名人や上流階級の人々も多く迎え入れたそのトンプソンのもてなしこそが、世界に彼の存在を知らしめることに大きく貢献したといっても過言ではないでしょう。
そんなトンプソンのスピリッツを現在に受け継ぐ「ジム・トンプソン」なら、タイシルクのブティックの他、レストランやカフェを営み、彼のもてなしの心を現在に体現するのは、むしろ自然なことであるわけです。
1967年復活祭の日曜日、トンプソンは、休暇先のキャメロンハイランドにて行方不明となり、消息が掴めないままその事件は迷宮入りに。伝説になったシルク王ことトンプソンに思いを馳せながら、冷えた白ワインとミアン・カム(ベタルの葉で香味野菜を包んだ前菜)を愉しむ、そんなひとときはいかが。
JIM THOMPSON Thai Restaurant & Wine Bar
No. 45 Minden Road, Dempsey Hill, Singapore 248817
TEL:6475-6088
営業時間:12:00~0:00、無休
駐車場あり
文= 桑島千春
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.142(2009年04月06日発行)」に掲載されたものです。