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熱帯綺羅

2009年9月7日

旅情あふれる鉄道の旅はタンジョン・パガー駅から

シンガポールに暮らしていても地下鉄(一部高架)のMRTは日常的に利用するけれど、鉄道駅(タンジョン・パガー)に行くことはめったにありません。筆者は当地に20年以上住んでいますが、汽車に乗ったのは来星したばかりの時、1回だけ。その後は駅の存在すら忘れかけていました。でも鉄道駅を思い出させてくれたのは、エキベニスト(駅弁の専門家)として活躍している日本の友人からの質問でした。「シンガポールには確かイースタン・オリエンタル急行の始発駅があるよね。その駅に駅弁はないの?」。駅弁?!そんなものはないかもしれませんが、20数年前、マラッカからの帰りに乗ったマレー鉄道のことを懐かしく思い出したのです。

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シンガポール独立前からある堂々とした駅舎。今もその敷地はマレーシア領。

 

一世紀の歴史を誇る駅

久しぶりに訪れた駅は昔の面影そのもの。どっしりとした駅舎はコロニアル風建築でなかなか趣があります。マレー鉄道駅の歴史は今から100年以上も前、1903年にまでさかのぼります。2回の移転を経て、現在のケッぺル・ロードに移ったのが1932年のこと。ケッぺル・ロード駅、あるいはシンガポール駅とも言いますが、通常はタンジョン・パガー駅と呼ばれています。MRTにも同名の駅があり、そこから1キロ半くらいしか離れていませんが、人知れずひっそり佇んでいるように見えるのはなぜでしょうか。

この駅はマレー鉄道およびイースタン・オリエンタル急行の始発駅とも言えますし、タイやマレーシア方面から乗って来ればここが終着駅となります。シンガポール領内唯一の鉄道駅ですが、この駅の敷地や線路はマレーシアに属していて、マレーシア鉄道公社が運営しているものです。出発ホームにはマレーシア国境検問所が設置されていて、入国審査と税関があり、これを通って汽車に乗ればもうマレーシアに入国した、ということになります。

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マレー鉄道を走る列車内はスーペリアとエコノミー、またはプレミアとスーペリアに分かれており、座席の階級によって料金が異なる。

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