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熱帯綺羅

2010年1月18日

未来のガーデンシティ体現、Fusionopolis@one-north

ドリアンに勝るとも劣らない“卵”、Genexis Theatre

外から見ると、2つのタワーの真ん中の、まるで宇宙船のようにも見えるこの楕円の球体の中には、2009年にプレジデントデザインアワードを受賞したジェネシス・シアター(Genexis Theatre)があります。このシアターの内部、そして外にあるフロント・オブ・ハウス(Front of House)という待ち合いスペースの設計を任されたのが、シンガポール国内外で数々のプロジェクトを実現し、世界的な建築賞も受賞しているWOHAアーキテクツ。学究機関、知的創造産業に携わる人々が働き、暮らすワン・ノースで、文化芸術のパフォーマンスや数多くのセミナーやイベントを通して彼らが交わる場所にふさわしい空間となるようにデザインされました。

楕円の球体の中がシアターであることに驚くと共に、そこに施されたシアターとしての視聴覚技術やデザインの工夫にも目を見張るものがあります。シアター内には、最小のスペースに収納可能な階段式の560席のシートのほか、照明機器の下には、特殊ネットが張り巡らされ、その上を人が歩いて天井の照明の位置を自在に変えることが可能。また、楕円形のドームの壁全体には、直径6cmほどの木製ビーズがぎっしりとはめ込まれており、その数40万個。ビーズの穴を音が通ることで、音響エコーが壁に吸収されるように工夫されています。シアターの真ん中で手をたたくと、すっと音が消えるのがわかるほど。同時にマホガニーの自然の木肌が幾何学的に整然とならんだ美しさは、会場全体を落ち着いた雰囲気にしています。

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音響エコーを吸収する壁全面に装着された木製ビーズ。その数はなんと40万個。

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ジェネシス・シアター内部
(写真提供:JTCコーポレーション)

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故黒川紀章氏設計のフュージョノポリス外観

 

そのシアターへ導くブリッジの手前に、待ち合いスペースであるフロント・オブ・ハウスがあります。2.5cmほどの厚みのある合板が一定の距離を保って整然とならび、天井から壁にかけて有機的に切り込まれた立体的なカーブの美しさに思わず息をのみます。WOHAアーキテクツが得意とする自然な木目と色を存分に活かしたデザインに、モダンな色とりどりのソファがアクセントになっています。ソファの配置とそのユニークな形がザッハ・ハディド女史によるワン・ノースの都市計画の模型にも似て、数年後のワン・ノースの姿に思いが広がります。

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フロント・オブ・ハウスの待ち合いスペース

Fusionopolis@one-north

1 Fusionopolis Way #20-10 Connexis 138632

TEL:6826-6111

1 Fusionopolis Way 138632

文= 桑島千春
写真=Eugene Chan

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.160(2010年01月18日発行)」に掲載されたものです。

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