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熱帯綺羅

2010年12月6日

貝の白壁とステンドグラス「St. Andrew’s Cathedral」

 

マドラス・チュナムによる永遠の白壁

太陽光が差し込むと、礼拝堂のステンドグラスはいっそう輝きを増すようです。そしてガラスを彩る蒼、碧、紅、黄色がたった今塗られたばかりのように際立ちます。それは教会内の雪のように純白の内装のせいもあるでしょう。礼拝堂の壁や柱は何百年たってもその白さを保ち、釘を打ち込むこともできないほど硬くコーティングされているのですから。焼いて粉にした貝と卵の白身、砂糖、そして水を混ぜた特殊な材料で最後の仕上げ塗りが行われています。昔からインドで行われているこの伝統的な手法はマドラス・チュナム(Madras Chunam)と呼ばれており、マハラジャの宮殿にも使われています。教会の建築に携わったインド人労働者がこの手法をセント・アンドリュース・カテドラルの内部塗装にも応用したのでしょう。砂浜で集めた無数の貝を打ち砕き、卵を一つ一つ割って塗料を作った人々の作業を思い浮かべながらこの広い壁を眺めると、埋め込まれた貝殻の白さが目に染みてきます。そしてステンドグラスを通して差し込んでくる太陽の光が、屋外よりも教会の中でより強く感じます。

アジアの人々によって造られた白亜の壁に、イタリアン・ルネッサンスのステンドグラスが嵌め込まれたセント・アンドリュース・カテドラルの内装は、まさに東洋と西洋の融合を象徴する芸術と言えるのではないでしょうか。

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聖歌隊のコーラスは、礼拝堂の中で。

 セント・アンドリュース・カテドラル

11 St Andrew’s Road, Singapore 178959

TEL:6337-6104

11 St Andrew's Road, Singapore 178959

文= セガラン郷子
写真=Eugene Chan

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.180(2010年12月06日発行)」に掲載されたものです。

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