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熱帯綺羅

2011年1月1日

娘惹達の足元を彩る伝統の技プラナカン・ビーズ・サンダル

中華とマレーに西洋の文化も融合されたプラナカン文化が生み出した数々のアイテムで特徴的とされるのがその華やかな色使い。南国らしい極彩色とピンクやライトグリーン、水色、ライトイエローなどのパステルカラーが織り成す色のコントラストと、花や鳥、蝶、モザイク模様などをあしらったデザインは、長年多くの人々を魅了してきました。

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特にプラナカンらしいデザインのものを、と店主のロバートさんが鍵付きの棚から特別に出してくれたサンダル。

 

プラナカンの人々がとっておきのサロンクバヤを着る時に合わせるのが、プラナカンらしい華やかなビーズ刺繍がサンダルの甲全体に施されたビーズ・サンダル。プラナカン文化全盛だった1920年代から30年代に人気で、当時はプラナカンの女性・娘惹(ニョニャ)だけでなく峇峇(ババ)、つまりプラナカンの男性たちもビーズ・サンダルを履いておしゃれを楽しんでいたそうです。サンダルに施される刺繍はもちろん手作業。細かい刺繍で複雑なデザインを表現するビーズ刺繍の腕前が良い事は、嗜み深いニョニャであることの証でした。

当時の刺繍に用いられたビーズは、プラナカン・カット・ビーズと呼ばれるヨーロッパ製のガラスのビーズ。切子面が作り出す複雑な輝きが美しいビーズです。残念ながら現在では入手困難なため、代わりにチェコ製のビーズが良く使われているそうです。プラナカンのビーズ刺繍に使われるのは、直径1ミリ少々と非常に小さなサイズのビーズ。サンダル一足で6万~8万個のビーズが必要で、花びらの色合いや蝶の羽の柄など細部まで表現されます。美しさの反面、その製作工程はとても手間隙のかかるもの。プラナカン・ビーズ刺繍の技術を受け継ぐ人々は他の多くの伝統工芸同様、残念ながら少なくなりつつあります。

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棚にずらりと並べられたプラナカン・ビーズ・サンダル。手作業で施された精緻で色あざやかなビーズ刺繍は飽くことなく眺めていたくなる。

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