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熱帯綺羅

2011年8月1日

シンガポールのアートを30年間パトロネージュ

「UOBペインティング・オブ・ザ・イヤー・コンペティション」

30周年を迎えたUOBPOY 2011

30周年にあたる今年は、去年から始まり2回目となったタイ、新たにマレーシアとインドネシアを加えた4ヵ国にて合計2,400点を超える作品を集めての開催となりました。シンガポールでは、800点を超える応募の中から、中国出身でPR保持者のゴン・ヤオミン氏が2度目の最高賞を獲得。ゴン氏は、中国画の技法を用い、シンガポールの現代的な風景を緻密に描いたその技巧とコンセプトが評価されました。その次のプラチナム賞には、3名が選ばれ、うち2名がユース部門からの受賞となりました。

シンガポール、日本、タイ、オーストラリアから招聘された計6名の審査員が今年の審査にあたりましたが、絞り込まれた作品の中から特に最高賞とプラチナム賞の選考が難航したといいます。また、ローカルの教育システムに近年登場した特別美術プログラムの履修生らがプラチナム賞や最優秀ユース部門賞を獲得するなど、突出した才能を持つ十代の学生が複数おり、新しい教育システムの成果が注目されました。

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UOBPOYの受賞作品は、毎年一般公開される。今年の会場となったエスプラネード。

アートをグローバル都市創造へのカタリストに

UOBPOY2011の受賞作品は、毎年エスプラネードで展示され、上位受賞者のうち1名に、福岡アジア美術館に1ヵ月滞在するアーティスト・レジデンシー・プログラムへの参加資格が授与されます。滞在期間中、福岡や近郊の一般市民との交流を深め、制作活動や市民向けのワークショップなどを行います。参加者の将来のアート活動の一助となるほか、貴重な国際交流の機会となります。また、年間賞であるUOBPOYは、その時代を反映した公平なものであるよう募集条件などを毎年見直しており、継続性を重視した発展型のイニシアティブといえます。

シンガポールにおいて、アートを支援しコラボレートする企業や団体が年々増加していると言われる中、アートも多様化し、そのニーズはますます高まっています。企業とアート、そして社会の双方にメリットのある継続的なパトロネージュは、今後一層期待されているといえるでしょう。

文= 桑島千春

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.194(2011年08月01日発行)」に掲載されたものです。

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