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熱帯綺羅

2012年4月2日

アンサナの木陰に人情横町「チャンギビレッジ」

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Screen Shot 2015-07-30 at 3.01.20 pmシンガポール北東の海岸沿いにあるチャンギビレッジは、リゾート気分溢れるのんびりとした一帯。チャンギ国際空港に近く、トランジットで立ち寄る各国の人々、セイリングやウビン島へ出かける人々、ビールを楽しむ顔なじみの面々などすべてを穏やかに迎え入れます。

 

「第二次世界大戦前後、現在のチャンギ空軍基地が英国空軍基地だった頃、この周辺に英国兵の居住地とクラブハウスがあって、ここへ人々が移り住み始めたんだ」と、この地で生まれ育ち、チャンギビレッジロード沿いのブロック5にあるカフェ「HANAMCO(ハナムコ)」と「チャーリーズ・コーナー」(※改装のため2013年まで休業中)のオーナ−であるチャーリー・ハンさんは回想します。

 

チャンギビレッジのカフェ探訪

中国海南島出身のチャーリーさんの祖父と父は、「ミルクバー」と呼ばれるカフェを40年代に開き、以来親子3代でチャンギビレッジで飲食店を営んできました。商用船の調理師として働いた父は、ロンドンで西洋料理の修業を積み、その知識と技術を活かして、海南人の多くがそうしたように、祖父と飲食店を開業したのです。

 

1979年にチャーリーズ・コーナーと店を改名しながらも、当時ミルクバーの常連客に愛され、職人気質で礼節に厳しかった父の気質とレシピを共に受け継ぎ、自らは50フィートのボートで海へ釣りに出かけることが趣味というチャーリーさん。現在成人した子供達が、4代目の後継者となるべく店に立つ姿に満足そうです。

 

次女のジョイスさんと長男のケンさんは、「コロニアル•ウエスタン」と呼ぶ家族代々の味に絶対の自信を持ちながら、今の世代の人が気軽に集まれる場にしたい、と次世代としての抱負を語ります。とはいえ今は修行の身、「未だに父は、祖父からの秘伝のレシピや肉の下ごしらえの方法を教えてくれないんです」と姉弟は顔を見合わせて笑います。

 

チャーリーさんのカフェの2軒先には、チャンギビレッジ商工会長を務めるリム・トゥスーンさんが経営する西洋家庭料理の店「ジェイコブズ・カフェ」があります。同じ海南人のチャーリーさんとは親しい仲で、25年間のエンジニアとしてのキャリアの後、まず同じ場所で商店を営み、2000年からカフェを始めました。同じくエンジニアだった奥さんと夫婦2人で、店を切り盛りしています。旅先や常連の欧米人から習った欧米家庭料理を忠実に再現しつつ、自らの海南料理もメニューに盛り込み、誰もがほっとできる家庭的な食と雰囲気が自慢です。

 

敬虔なクリスチャンでもあるトゥスーンさんは、カフェを始めてからのチャンギビレッジでの出会いや経験を一冊の本にまとめて出版するなど、コミュニティーの語り部としての役割も果たしており、その気さくな人柄に魅かれて話し込む常連客も多いといいます。

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