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熱帯綺羅

2012年7月2日

コピとエスプレッソのある懐深い街歩き。ティオンバル地区

 

コピにカヤトースト、それともエスプレッソにクロワッサン?

Screen Shot 2015-07-30 at 12.57.20 pm現在、歴史的建造物として保存地区に指定されている、ティオンバル・ロード、センポー・ロード、ヨンシアック・ストリート、チョンポー・ストリートに囲まれたエリアには、今でも雑貨店や工具店、お粥や醸豆腐の有名店などが軒を並べています。ところが、この2年程の間に、新しい世代のショップオーナ−が増えて、少しづつ様相が変わってきました。昔からの生卵の販売店は、フランス人のシェフが率いる「ティオンバル・ベーカリー」になり、裁縫用品の問屋だった店は、こだわり焙煎のコーヒーを出す「オレンジ・ティンブル(オレンジ色の指ぬき)」に変わりました。

 

ティオンバルの居心地の良さに目をつけて店を開いた若手の先駆者のひとり、「ブックス・アクチュアリー」のオーナーのケニー・レックさんは、「去年家賃の高騰に見舞われ、クラブストリートから移転しました。昔ながらの日々の暮らしがあるティオンバル界隈が気に入っています。ただ、痛感しているのは何事もバランスが大事だということ。最近新しい店やオフィスが旧いテナントに代わって入居し始めたことで、ここもトレンディな地域となり、家賃の高騰などに繋がらなければいいんですが」といいます。

 

この界隈の住人に限らず、あらゆる世代や人種が集まるティオンバルは、以前からその忙しない人通りが絶えることはありません。コピを飲んで話し込む生粋のティオンバルの住人や、朝粥の有名店目指しわざわざ足を運ぶシンガポール人達も、よりすぐりのコーヒー豆を自家焙煎していれたエスプレッソを出すカフェやシンガポール随一と評されるクロワッサンのあるベーカリーといったチョイスの多様化を、むしろ時代の流れとして平静に受け入れているように見えます。無論、通い慣れた店がそこにある限りにおいてといえるかもしれませんが。

 

古き良きものが体感できてこそのティオンバル。ここでは、住人同士が声を掛け合う日常もまだあります。レトロな風景と情緒に触れながら、セレクトショップやカフェを巡ってのんびり歩いてみると、新しいシンガポールが見えてくるでしょう。

 

Yong Siak Street, singapore

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.215(2012年07月02日発行)」に掲載されたものです。
文= 桑島千春
写真=Eugene Chan

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