シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX熱帯綺羅TOP未来は自らの手で創る「プロトタイピング・ラボ」

熱帯綺羅

2015年3月16日

未来は自らの手で創る「プロトタイピング・ラボ」

 

ブームの受け皿から、独自の文化創出へ

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会員のジアン・リー氏。市販のフォトフレームをベースにLEDライトを組み合わせて、時刻が文字で表示される「ワードクロック」を制作した。

 

OMGを率いているのは、ダイレクターのウィリアム・フーイ氏。セカンダリー・スクール(日本の中・高校に相当)の教諭や、サイエンス・センターの職員として15年間の勤務を経て、昨年起業した。ウィリアム氏らによると、世界に広がるメイカーの流行は米国西海岸が主な発信源となってもたらされた。DIYや電子工作など個人の趣味から始まった流行は、2000年代以降、かつて大企業にしかできなかったハードウェア開発を手掛けるベンチャー企業の隆盛をもたらし、新しい産業を生み出した。成功の代表格としては、ウェアラブルカメラの「GoPro」などが挙げられるという。「クリエイティブであることが人々の喜びを生み、そしてビジネスを生みます。シンガポールのような小さな国では、デザインやアイデアなどの付加価値創造が産業を支える最も大事な要素です」とウィリアム氏は話す。会員には、自作の製品で起業を考える学生や、すでにネットショップでの販売を始めている人々もおり、こうした人々の支援を通じて、新たな産業を創出することを目指している。

一方で、シンガポールで独自の産業を発展させるためには、単なる米国文化の輸入になってはいけない、とウィリアム氏は強調する。その理念を体現しているのが、OMG参加企業の1つ、SL2がラボで行っている「リペア・コピティアム(Repair Kopitiam)」というワークショップだ。このワークショップでは、壊れた家電製品や破れた衣類などを持ち寄ってもらい、自分たちで修繕してもらう。「シンガポールのこれまでの文化は『使い捨て』。修理をきっかけに自分の手で作る楽しさを味わってほしい」。時にはHDBまで出かけて行って、地域住民向けの出前ワークショップも開催している。

ラボは通産省の外庁、SPRING Singaporeから委託を受けて運営されており、期限は2年間。ウィリアム氏は、委託期間終了前に、シンガポール各地に新たなラボを誕生させるつもりだという。「ミュージシャンになりたいとか、詩人になりたいと思ってピアノや詩作をするのと同じように、今やエンジニアになりたい人が誰でも夢を実現できるようになった。その夢に向かって踏み出す障壁を取り除く施設にしたいのです」。

Prototyping Lab

National Design Centre111 Middle Road #01-02 Singapore 188969

TEL:6694-5521

National Design Centre111 Middle Road #01-02 Singapore 188969

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.276(2015年03月16日発行)」に掲載されたものです。

取材・写真:石澤 由梨子

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