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熱帯綺羅

2015年3月16日

未来は自らの手で創る「プロトタイピング・ラボ」

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OneMaker Groupを率いるウィリアム・フーイ氏(中央)。右は、シンガポールのメイカーコミュニティでウィリアム氏と共に活動する、チームラボの高須正和氏。

 

若者の街、ブギス地区に昨年誕生したナショナルデザインセンター。その一角に設けられた「プロトタイピング・ラボ(Prototyping Lab)」の午後は、作業に熱中する若者たちの活気に満ちている。大型機械を動かす音が絶え間なく響き、時には木の焼け焦げたにおいも漂ってくる。ここは、シンガポールで芽吹き始めた「ものづくり」の現場だ。

 

メイカー(Maker)の基地として

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大型のベニヤ板の切断ができるレーザーカッターも設置されている。

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救急・消防活動を行うシンガポール・シビル・ディフェンス・フォース(民間防衛隊)の委託を受けて、SL2が現在このラボで制作している作品の試作品。消火用のホースを再利用して、キーホルダーに仕上げ、記念品として使用される予定だという。

 

このラボは、メイカー(Maker)と呼ばれる、個人でものづくりをする人々の基地となることや、ものづくりの機会を多くの人に提供することを目的に、2014年12月にオープンした。室内には、木板や皮革などの材料の切断や、彫刻加工などができるレーザーカッター、プラスチック製品の立体成型ができる3Dプリンタ、電子工作の基盤やはんだごて、ミシンなど、数々の工作機械や材料がそろっている。本棚や机・イスなどの木製品、プラスチック製品から電子機器まで、専門知識を持つラボのスタッフのサポートを受けてオリジナル作品を自ら制作することができる。

ラボは会員制で、登録している約80人の多くは、若手のエンジニアやデザイナーなど。専門の業者に頼まなくとも、安価で思い通りに試作を重ねられることが好評でプロの制作現場として使われている。その一方で、個人が趣味としての作品作りを始められるように、ワークショップなども開催している。最近のワークショップではスマートフォンのモバイルバッテリーなどを制作したという。

ラボを運営しているのは、「ワンメイカー・グループ(OMG/OneMaker Group)」という企業。環境問題の解決を目指すSustainable Living Lab (SL2)、3Dプリンタの販売を手掛けるSimplifi3D、DIY商品を販売するHome-Fixなど6つの企業の連合体として組織された。

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