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熱帯綺羅

2015年4月20日

信者の暮らしを守るムルガン神を祀る「スリ・タンダユタパニ寺院」

 

年に一度のタイプーサム、そして日々の礼拝プージャ

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清々しい表情が印象的なプージャを終えた信者。お供えはビニール袋に入れて持ち帰るか、バナナなどは寺院で食べてもよい。

 

スリ・タンダユタパニ寺院では年に6つの大きな祭りが行われ、中でもタイプーサム(Thaipusam)が有名です。この祭りは、髪を剃った信者たちが長い鉄針を体中に刺してカバティと呼ばれる20キロ前後はある神輿をかつぎ、リトルインディアのスリ・スリニヴァサペルマル寺院からスリ・タンダユタパニ寺院まで約4.5キロメートルを練り歩きます。その日に備えて48日前から断食と祈りを捧げ、当日は身体的な重荷カバティを背負うことでムルガンへの感謝と厚い信仰心を示し、その加護により様々な災難を防ぐために行われる儀式です。沿道となる道路は交通規制が敷かれ、多くの信者たちや見物客で賑わいます。
このタイプーサムも圧巻ですが、日々行われる神像礼拝の儀式プージャ(pooja)も見逃せません。礼拝をするには先ず入り口で自分の名前、家族の名前を告げ、タミル語で用紙に記入してもらいます。バナナのお供え(0.6Sドル)かココナッツのお供え(1.2Sドル)を買い、その用紙とともに僧侶に手渡します。僧侶が金色のトレイにバナナまたはココナッツ、キンマ(ビンロウジ)の葉、木の実の皮、そして蘭の花などを綺麗に盛り合わせてプラサーダム(お供え)にアレンジした後聖所に入り、神にお経を唱えます。待つこと数分、聖所から出てきた僧侶が白檀の粉を水に溶かした液体とビブティと呼ばれる石灰粉を自分の額の真中に塗ってくれます。この儀式が終わると最後に寺院の中を歩き回るフェーラムと呼ばれる礼拝を行って終了。フェーラムでは人間の気持ちや態度を支配するといわれる「9つの惑星(nine planets)」を象徴する銅像にも祈りを捧げます。
「一通りの儀式を終えることで、家族が守られているという心の平和を実感することができる」と、寺院で出会ったある信者は話してくれました。

現在は観光名所として多くの観光客も訪れる当寺院ですが、シンガポールに住むヒンドゥー教徒にとって、今も変わらず心の拠り所となっています。寺院を訪れると、外とは違うゆっくりとした時間が流れているのを実感できるでしょう。150年以上もの間、祈りの場として貢献してきたスリ・タンダユタパニ寺院。これからも威厳ある佇まいでコミュニティの信者たちを見守り続けます。

Sri Thendayuthapani Temple

15, Tank Road Singapore 238065

TEL:6737-9393

15, Tank Road Singapore 238065

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.278(2014年04月20日発行)」に掲載されたものです。

取材・写真:平野かほる

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