2015年4月20日
信者の暮らしを守るムルガン神を祀る「スリ・タンダユタパニ寺院」
国内のシンガポール人約385万人のうち、統計局によると約9パーセントをインド系が占めています。彼らがシンガポールに移民として入植してきたのは1820年代に遡ります。その大半は肉体労働に従事しましたが、中でもインド南部のタミル・ナードゥ州からやって来たチェッティア (Chettiars)と呼ばれる人々は、シンガポールで貿易商、外国為替引受業者または両替商として地位を確立しました。当時リバーバレー・ロードとクレメンソー・アベニュー界隈に住んでいたナトゥコタイ・チェッティア(Nattukkottai Chettiars、タミル・ナードゥ東沿岸出身者のグループ)と呼ばれる人たちが寄進し、タンク・ロードに1859年に建てたのが、ヒンズー教寺院のスリ・タンダユタパニ寺院(Sri Thandayuthapani Temple)です。


戦いの神「ムルガン」を訪ねて
別名チェッティアズ・テンプルとも呼ばれるこの寺院は、破壊と再生の神シヴァの息子で戦いの神であるムルガン(Murukan)を祀っています。ムルガンは、美徳、若さ、力の象徴で、悪を打ち砕く神として信仰を集めています。
神々や鳥獣など極採色の彫刻で覆われた棟を掲げたゴープラム(インド南部のヒンズー教寺院の特徴的な門)をくぐると、まず3つの聖所が目に入ります。正面に向かって一番左側がムルガンを祀った聖所です。ムルガンの両脇に居るのは彼の妻、ワルリとデヴィヤニ。真ん中の聖所にはムルガンの父親であるシヴァ、そして一番右側の聖所には母親のシャクティが祀られています。シヴァの両脇にはムルガンの兄弟であるガネーシャとカティキエンが並び、その聖所の階段にはシヴァが身体を清めるといわれるミルクが供えられています。