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Employer's Voice

2014年11月17日

心と心の対話

フリーランス 野村繁雄一氏

1980年に来星して、かれこれ34年になります。当初は音響機器メーカの生産技術指導者として製造現場の指導と教育が主な業務でした。一旦は帰国したもののシンガポールの躍動感と国際的な人間関係に魅せられて転職し再来星した次第です。

 

1980年代はジョブホッピングが盛んでワーカーは数ドルの賃金の違いで転職してしまい、人材の確保が難しい時期でした。2000年を過ぎた頃から、製造業は他の東南アジア諸国に移り始め、第三次産業がメインとなるような構造変化が起こりました。合わせて私自身もインドネシア、ベトナム等で仕事をすることとなり、今まで経験をしたことのない職種にも携わりました。

 

来星した当初は全く英語が話せなく不安な日々でしたが、この34年間の経験から言えることは、現地従業員の指導教育に必要なのは、言葉ではなく心が大切であるということです。相手の言っていることを真剣に心で受け止め自分の思いを、あらゆる手段(身振り手振りや筆画、筆談など)で伝えることが、お互いの信頼を築きスムーズに業務を遂行できるのです。集中して聞き取ることが語学力の向上につながり、2〜3年すると自然に会話ができるようになります。このことは国や言語が違っても全く同じでした。
余談ではありますが、過去に同僚から、英語がわからないのに何故コミュニケーションがとれるのかと聞かれたことがあります。「それは赤ん坊が何かを訴えるように泣けば、母親が理解するだろう。野村語で話しているからだよ」と答えたことがあります。

 

企業にいると製造業にかぎらず、5Sや報連相など教育することが多々あると思います。言葉の表現ばかりにとらわれず、伝えようとする内容を表や図、漫画絵などを駆使して人材の育成をはかってみては如何でしょうか?

 

今現在シンガポールに居られる日本人の方、ここにいることをチャンスと捉え、英語がわからなくても言葉ではなく心と心の会話を始めてみませんか! それが庶民レベルの国際交流の始まりとなると思います。

 

最後に私の海外生活で役だった3つの言葉を紹介します。皆様のツールとして利用していただければ幸いです。

  • What is it?
  • How do you pronounce?
  • How do you spell it?

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.269(2014年11月17日発行)」に掲載されたものです。

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