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シンガポール仕事談義

2018年5月24日

5年先、10年先の人員計画はできていますか?

今回のテーマ: 人員計画の重要性

 

日系企業がシンガポール進出を始めて約40年が経過し、多くの企業から「社内の高年齢化」について伺う機会が増えてきました。
シンガポールではジョブホッピングする方が多い一方で、20~30年間勤務を続けてきた世代が、定年を迎え始めています。

 

ここで考えたいのが5年先、10年先を見越した人員計画です。
今回は、業務が一人に依存しやすいバックオフィス業務を例にお話しします。

 

考えたい点1
業務のブラックボックス化

日本の大手企業でも、シンガポール法人は中小規模の体制で、バックオフィス業務に従事するスタッフは数名だけ、という企業がほとんどです。

 

CASE1
そうした中で多いのが、一部の業務を一人のローカルスタッフに全て任せていて、その方が長期間勤務しているため「この人に聞けば何でもわかる!」という状況になっているケースです。
このような存在は会社にとって非常に頼もしいのですが、もしもその方が休職・退職してしまった際に、他に業務を回せる方はいるでしょうか?業務マニュアルは存在しないことも多いようです。

 

CASE2
次によく聞くのが、現在の担当者のバックアップとして若手スタッフを雇ったものの、引継ぎがうまくいかず結局新しく入社した方がすぐに辞めてしまったというケースです。
当地では「業務を引き継ぐ=自分の業務がなくなってしまう」という考え方が一般的ですので、自分自身が「まだできる」と思っているスタッフは自分の後任候補の方が入社してもなかなか業務を渡さないケースが多く、結局手持ち無沙汰になってしまった後任の方が辞めてしまうのです。

 

この解決策として、長く続けている担当者の方に「あなたの業務がなくなってしまうわけではない。今後はワンランク上の業務にチャレンジしてほしい」と引き継ぎが必要な理由について前向きな説明をしてあげること。さらに「後任への引き継ぎ」という役割を明確に評価項目として与えることが大切です。新しいスタッフ採用直前に伝えたのでは遅いので、事前に人員計画を立て、定期的な面談の際にきちんと伝え、マニュアルの作成等の準備も進めながら新しいスタッフの採用活動をしていくことです。

 

考えたい点2
コア業務への集中

バックオフィス業務では、給与計算や経費精算など、毎月発生するルーティン業務が多く、担当者がルーティン業務に時間を取られているケースが見受けられます。会社にとって欠かせない大事な業務である一方、ベーシックな内容であるため、この業務を任されている方の中にはステップアップしたいという理由で他社へ転職してしまう方もいます。会社としても経験豊富なスタッフの業務時間をルーティン業務に費やしてしまうのはもったいないことですので、ジュニアレベルの方を別に雇ったり、誰にでもできる業務はアウトソースするという会社が徐々に増えてきています。そうすることで既存のスタッフには会社の評価制度の構築や社員向け研修の計画など、より進んだ重要な業務に集中して取り組んでもらうことができます。

 

最近は多くの企業で海外拠点のガバナンスを強化しており、一部の業務が一人に依存していること、後任がいないことについて内部監査で指摘を受けたという声も聞くことがあります。まずは一人に依存している業務はないか、その担当者がいなくなった場合のバックアップ体制はあるか、コア業務に集中できているかを考えてみてください。その上で、5年先、10年先の人員計画をすることが重要です。

 

自社での人員計画に不安があれば、サポートさせていただきます。パソナシンガポールでは、人材紹介・派遣をはじめ、業務のアウトソーシングや人事関連の相談窓口サービス、就業規則書・雇用契約書作成や研修のお手伝い等もしています。ぜひお気軽にご相談ください。

 


お話を伺ったのは…
Pasona Singapore Pte. Ltd.
Sales & Marketing Executive
草皆 ふみさん

 

慶應義塾大学卒業後、パソナ入社。営業部での5年半の勤務後、2016年に来星。シンガポールでは業界を問わずクライアントの多様なニーズに対応中!

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.334(2018年6月1日発行)」に掲載されたものです。

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