2018年2月28日
採用担当者必見!ローカル採用の成功のヒントをご紹介!
益々高まるローカル人材
昨年1月のEP基準厳格化、ウォッチリスト問題を筆頭に、今年1月にはDP基準も厳格化し、日本人のシンガポール就業ハードルが上がる昨今。日系企業各社の中でも、シンガポール人および日本語が話せるシンガポール人、PR保持者の需要が益々高まっています。
私が担当しているIT業界では、日系・外資系企業の求人対象者の約6割~7割が、シンガポール人またはPR保持者にシフト。一方で、優秀なシンガポール人・外国人候補者は、転職活動にあたり、当然、非日系(外資・ロ-カル)企業にも応募。そのため、日系企業においては、「自社に応募してもらえない」「外資系から好待遇のオファーをもらい内定辞退」というケースも続出。この現状の中、いかにして自社にマッチした優秀なローカル人材を採用するかが、多くの日系企業での課題ですが、その解決策に当たる3つのヒントを、事例を交えてご紹介いたします。
1.競合企業の採用実態を把握すること
採用計画以前から、ローカル・外資系競合企業の採用情報の実態を知る努力を積み重ねている企業は、より効率的に、自社にマッチしたローカル人材を採用できる印象を受けます。日本では、ビジョンやサービスの魅力に惹かれ、給与がダウンしても転職する事例も多いですが、ローカル人材の転職理由の多くが、給与やその他待遇の向上。そのため、採用計画前の段階で、転職マーケットの給与相場を調査し、自社の採用予定ポジションの正しい相場観を掴むことで、候補者に応募頂く土俵を作ることができます。また、採用ターゲットの応募企業や、その人事情報を掴むことは、自社の人事制度にも活用可能で、事前に従業員の転職リスクを防ぐことができ、リテンション効果にも繋がります。現在は、LinkedinなどビジネスSNSの台頭により、優秀な候補者のヘッドハンティングが容易な環境に変化。そのため、活躍する従業員が、他の好待遇外資系企業にスカウトされる前に、事前に人事制度上で手を打つことができます。
2.求人票の明確化と選考を通じた再定義
求人票を作ることは一見面倒ですが、ローカル人材の応募喚起に効果的。ローカル人材は、具体的に自身が任される明確な仕事内容とその範囲を重視します。採用要件、福利厚生等も正しく伝え、仮に求人票をざっくり作られた場合は、人材会社と協働し、具体的に作成することで効果的な応募喚起を実現できます。また、あまりマッチしない方の面接が続く場合、求人票の再修正も必要です。例えば、私が支援させて頂いた日系IT企業のエンジニア募集の案件では、当初の求人票ではマッチした候補者が集まらず苦戦。そこで、採用要件の一つに、感度の高いエンジニアでは有名な「○○の技術言語使用経験が望ましい」旨を追記するなど、求人票を再修正。結果的に外国籍の優秀なエンジニアの採用に成功しました。このように、求人票を明確化し、採用活動に苦戦する際には、何が課題かを特定し、その解決策として求人票を再定義するのが有効です。
3.選考スピードの早期化と丁寧な対応
IT業界では、AI・フィンテック・デジタルマーケティング・ブロックチェーン・サイバーセキュリティ等、市場の変化に伴い、最先端の技術を求める求人が多数。しかし、こうした求人の候補者数は希少なため、選考スピードの早期化(日程調整や早めのフィードバック)は、辞退防止に繋がります。また、採用担当者が候補者と同じ目線に立って、共に働く者同士として、イキイキと自社の魅力を語り、面接前後、面接中も丁寧に対応することも成功の鍵です。
日系企業の魅力=日本自体の魅力に
ローカル人材採用において、上記3つの解決策に加え、アニメ・漫画・食文化・旅行先としての日本や、従業員を大切にする日系企業自体に魅力を感じるローカル人材もいるのも事実。我々RGFも、より多くの日系企業の魅力を引出し、企業の事業発展とローカル人材の活躍を、ご支援致します。
お話を伺ったのは…
RGF HR Agent Singapore Pte. Ltd.(リクルートグループ シンガポール法人)
ITコンサルタント 藤崎 敬太 さん
89年生まれ。慶應大学経済学部卒業後、リクルート入社。HR営業、事業企画に従事。昨年1月より現職でIT企業の採用支援を担当。趣味はボクシング・ラーメン店巡り。
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.331(2018年3月1日発行)」に掲載されたものです。