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Employer's Voice

2012年8月6日

これまでの駐在生活を振り返って

帝人ポリカーボネートシンガポール 調達・物流アドバイザー 春日井 晃一郎 業種:化学

当地で会社人生初の駐在生活を始めて2年半経ちました。
これまでの駐在生活を振り返り、日本とは異なる経験を通して、自分なりにどんな意識で仕事をしているか話をさせて頂きます。

私が仕事に取り組むにあたって強く意識しているのは以下の3点です。

  1. 違いを受け入れる=『流れに無理に逆らって進むのではなく、まずは流されてみる。流されてみることで見えてくるものがある』
    日々の仕事の中で、時間に対する意識や報連相のタイミング・内容等、現地メンバーとの意識や対応の違いに日本人の物の見方からは、もどかしさを感じてしまう事も多々あります。
    そんな時でも、まずはぐっとこらえてシンガポールという国の事情(転職が当たり前で世界でも最も会社への帰属意識が低いともいわれる)、あるいは我々のグループ内で現地会社の置かれている状況(グループ全体の方針は日本本社で主に決められ、現地会社はその中で最適化を目指す)等を踏まえて、彼らの視点に立って考えてみることが必要と考えます。
    そうすると、納得はしなくとも、何となく彼らの意識や対応が理解でき、どうすればより我々の想いを分かってもらえるか、という観点でアプローチを考える事が出来るようになります。
  2. 自分なりの軸をしっかりと持ち、最善の道を考える=『流されながらも、パドルを使ってしっかりと方向を定める』
    とはいえ現地事情に流されっぱなしでは、我々の存在意義がありません。
    1.の意識や対応の違いを認識した上で、その中で何が最善かを考えて自分の立ち位置をしっかり定め、ぶれることなく方向付けを行うことが必要です。
    時には現地メンバーを説得し、また時には現地の意向を踏まえて本社に伝えて理解を得る事も必要となります。
    例えば、グローバル視点から現地会社として我慢をしてでも協力してもらう必要がある場合、その理由や現地会社がその中で求められている役割をきちんと説明して理解してもらう必要があります。
    また逆に本社から過剰な(と時に考えられる)要請を受ける事もありますが、そうした場合は現地メンバーの考えをしっかり聞き、対応できること、できない事を区分して本社に伝えることも必要です。
    こうした自分の立ち位置は、会議や普段のコミュニケーションを通して、現地メンバーに伝える努力を継続する事によって、しだいにメンバーがこちらの考え方を理解し、自ら協力してくれるようになります。
  3. 目標達成に向けて現地メンバーとともに突き進む=『定めた方向に、皆と一緒にスピードを上げて一直線に向かう』
    こうした上でメンバーのやる気を高め、維持する仕組みを作ることが必要になります。
    これには以下の点を特に心掛けています。

    1. 時間を惜しまず現地社員の想いを徹底して聴く。そしてこちらからもきちんと考えていることを説明し、お互い理解するまで話し合う。
      本社から方針を出された際に、背景等の情報に常日頃触れている日本人駐在員は、「これくらい分かっているだろう」と無意識に思い、現地メンバーに対して説明が不足しがちです。そうすると、現地メンバーは本社からの方針を押し付けられ、“やらされている感”を感じる事になります。
    2. 本社との会議、メール等のコミュニケーションにおいては、できる限り現地メンバーを巻き込み、発信する機会をつくる。
      意識して本社と現地メンバーが直接コミュニケーションを取る機会を設けることによって、双方の一体感が生まれ、現地メンバーも本社に対して意見が言いやすくなります。
      また彼らにとっては本社の方針決定の背景等を知る機会が増え、やる気の向上・維持には非常に有効です。

これらの意識を大切にして、今後とも現地メンバーとともに、より良い未来を創りだして行きたいと考えております。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.217(2012年08月06日発行)」に掲載されたものです。

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