2014年5月19日
採用者の立場が強い好景気のシンガポールで、日本のお・も・て・な・し
PLENUS&MK PTE.LTD General Manager 板山 太郎 業種:レストラン
当社は日本でHottoMotto(弁当)・やよい軒(レストラン)を展開するPlenusと、タイ王国でタイ風しゃぶしゃぶレストランを展開するMK RESTAURANTとの合弁会社です。現在、島内でやよい軒4店舗、MKレストラン2店舗を展開。日本人にも、現地の人にも、リーズナブルに、本物の日本食を召し上って頂きたいという会社の思いを背負って来星しました。今回は、現場の雇用状況を記したいと思います。
日本人が当地のレストランを利用し「サービスが悪い」「スタッフを呼んでも来ない」「店がまわっていない」という状況は多く経験していると思います。私自身、日本での飲食店はコストパフォーマンスが世界一素晴らしいと思っています。どんな安価なお店でも、最低限のサービスを受けることができます。私は、日本は不景気を長年経験し、生き残る競争が激しいなかで価格・品質・サービス・清掃が究極にまで洗練されたんだと思っています。
ところが、好景気のシンガポールはまだ需要と供給のバランスが悪く、供給者が強いと思うことが多くあります。雇用も同じで、採用する側より採用される側が強いということです。現場で一緒に働くスタッフ層(正社員)の場合、募集して連絡があり面接に来るのがわずか70%。
その中から労働契約出来るのが40%、稼働するのが30%(某人材紹介会社調べ)。その後は就労者が会社に対し将来性・自身の成長性・魅力などを持てたら続くような感じです。
実はこの数字はシンガポール人を対象にしており、シンガポール人を採用出来るか否かでサービス業の人員確保が大きく変わります。ご存知かと思いますが、シンガポール人を雇用していないと外国人採用枠が与えられず外国人を雇用することが出来ません。ですが、サービス業はシンガポール人に嫌われ、雇用することが難しくなっています。その結果、外国人も多く雇えず万年人員不足。人員不足→忙しくて辞める→更に人員不足→更に辞めるという、負のスパイラルに陥る店もあります。飲食業=忙しいというイメージもあるかと思います。また、国が認めているMCという「病欠での欠勤」で、突然その日が1人不足することもしょっちゅうです。MCが2人などと重なると悲惨……(叫)。
ですが、そういう苦境の中でも、Japan Qualityをシンガポールへ根付かせようと奮闘している日本から来た飲食店が多くあることも事実で、私も同じ日本から来た飲食店として恥ずかしくない(足を引っ張らない)よう努め、少しでもJapan Qualityを根付かせるお手伝いが出来たらいいと思っています。ローカルスタッフと一緒に働き、少しでも「お・も・て・な・し」の心が根付けば幸いだと思います。
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.257(2014年05月19日発行)」に掲載されたものです。