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社説「島伝い」

2016年11月21日

リスクかショックかチャンスか

11月8日に実施されたアメリカ大統領選挙は、アメリカ国内はもとより世界中で例年以上に注目を集めました。最終的にはクリントン氏が逃げ切るだろう、という多くの予測とは裏腹の展開となり、トランプ氏の当選確実とのニュースが発信されると、世界中に驚きが広がっていきました。

 

「トランプ氏勝利はブレグジット(英国の欧州連合離脱)同様、先進国にみられる、既存路線に対する不満、現状を変えたいという熱望を反映している」というリー首相がフェイスブック上で発表したコメントも印象的でした。例えば不法移民対策について「メキシコとの国境に巨大な壁を建設する」というトランプ氏の発言が話題になりましたが、実際に3,000キロメートル以上に及ぶ高い壁を築くのは非現実的。現に2006年にブッシュ政権下で可決された法案では、その3分の1の約1,100キロメートルに絞り込んでフェンスの建設が決定されたにも関わらず、10年経った今、作りかけのままあちこちで放置されているようです。ただ、不法移民の多さやそれに対するアメリカ国民の不満は我々が想像するよりもはるかに大きいこと、そしてそのような不満を持つ人々の溜飲を下げるようなメッセージを次々と発したトランプ氏への投票を決めた人が、最終的に多数いたことは事実です。

 

選挙戦期間中に同氏が提示した公約すべてを実現することはおそらく難しいでしょうが、これまでとは違う動きが今後アメリカから起こることは十分予想され、その影響はアメリカが主要な貿易相手国の一つであるシンガポールにとっても無縁ではありません。また、これまで良くも悪くもあらゆる面でアメリカに大きく依存してきた日本も、当然ながら変化を迫られることになるでしょう。これをリスクとみるか、ショックと捉えるか、あるいはチャンスと考えるか、大統領選以降さまざまな議論が起きています。

 

今の状況をどう捉えて物事を進めていくか、今後どの方向を目指すべきなのか、日本から一歩外に出てシンガポールという地から見ている我々は、より冷静に考えられる環境にあるといえるのではないでしょうか。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.314(2016年11月21日発行)」に掲載されたものです。

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