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社説「島伝い」

2008年5月5日

南国に緊張感は要らない?

日本では新年度がスタートし、異動などで最近シンガポールに来られた方もたくさんいらっしゃると思います。新しい環境で、まだまだ慣れないことも多いでしょう。

 
例えば、時間に対する感覚。打合せの相手がローカルの担当者で、時刻を過ぎても現れないので電話してみると「On the way(今向かってます)」。「あとどのぐらい?」と尋ねると「すぐすぐ。」しかし、待てども現れず、再度電話するとまたもや「On the way」。南国特有のお国柄かと思いつつも、「時は金なり」という日本人にとっては、なかなか慣れないことのひとつです。

 
あるいはスコールが降ってきた時、かつてシンガポールでは軒先で雨宿りしながらただひたすら雨が上がるのを待つ姿が良く見られました。土砂降りの中、そんな彼らの目の前を傘を差して走り過ぎる日本人ビジネスマンの姿は、彼らには異様に映ったようです。近年はシンガポールの経済発展と共に忙しいビジネスマンも増え、ビジネス街の軒下でひたすら雨宿りして呑気に待つような光景はさすがに見られなくなりました。

 
「On the way」も、相変わらずよく聞くとはいえ以前よりは減っていて、遅れそうな時はきちんと一報を入れる人も増えています。逆に日本人でも、特に連絡も無く遅刻したり、ひどい場合は現れない、といったケースがあるようです。無料ビジネスセミナーなどで申し込んでおきながら当日ドタキャン、しかも平気で無断欠席、ということも聞きます。事情があるにせよ、行けないことが判った時点で本来は連絡するのがマナーでしょう。

 
日本人は一般的にビジネスマナーが良いとされてきましたが、日本人以外でもビジネスマナーが身に付いて居る人は多く、時間厳守も日本人の専売特許ではなくなってきています。

 
新しい環境に入ったばかりで良い意味での緊張感を持っている方々には、それを維持して、日本人・ローカルスタッフ問わず周りにも良い影響を及ぼして頂きたいものです。それが、企業としてグローバルな環境の中で生き残り、成長していく上で大事な基盤を築くことにも繫がるのではないでしょうか。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.121(2008年05月05日発行)」に掲載されたものです。

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