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社説「島伝い」

2016年7月22日

用心しすぎることはない

最近、世界各地で一般市民を巻き込んだテロ事件が増えています。今月1日にバングラデシュ・ダッカのレストランがテロリストに襲撃され、日本人7人を含む人質20人が死亡した事件はもちろん、6月28日に発生したトルコ・イスタンブールの国際空港での自爆テロや、同日にクアラルンプール近郊のナイトクラブで発生した爆弾テロ事件など、シンガポールに住む我々にも少なからず衝撃を与えました。

 
海外では自分の身は自分で守るべき、というのは以前から言われてきたことであり、海外在住者の多くは既に意識していることでしょう。しかし、周りの状況が大きく変わっている現状を踏まえて、「これまでと同じ用心だけでは不十分かもしれない」と考えてみることも必要になっているようです。

 
海外に3ヵ月以上滞在する場合は「在留届」の提出が義務付けられていますが、3ヵ月未満の短期滞在者の場合は今まで提出義務がなく、海外で万一災害や事件、事故に巻き込まれても、現地の在外公館からの緊急連絡や迅速な援護を受けられない恐れがありました。そこで外務省では、短期滞在者にも渡航先の情報を提供したり、緊急事態でのメール送信や連絡を可能にするためのシステム「たびレジ」(www.ezairyu.mofa.go.jp)を2014年7月から運用しています。海外への出張や旅行の際に、自分自身の用心のためにはもちろん、家族などのためにもぜひ活用したいシステムです。また同システムでは、旅行予定がなくても現地の安全情報を入手するための簡易登録もできます。頻繁に訪れる国や地域を登録しておけば、各在外公館からの海外安全情報や緊急一斉通報がメールで配信されます。このような形での情報収集も用心の一つになるでしょう。

 
道路を通行する時、周囲への安全確認を怠らず常に用心深く行動している人と、周りの状況などろくに見もせずに動いている人と、どちらが事故に遭う確率が高いかは言うまでもありません。万一の緊急事態において、不運にも被害に遭ってしまう場合はもちろんありますが、自分の身を守れるかどうかは自分次第である部分も大きいのではないでしょうか。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.306(2016年7月18日発行)」に掲載されたものです。

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