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社説「島伝い」

2010年9月6日

ユース五輪の意義の大きさ

月14日から26日まで開催されたシンガポールユースオリンピック(以下ユース五輪)を見ていて、通常のオリンピックにはない新鮮さを感じました。参加している選手が14~18歳までのユース世代と若かったことはもちろんですが、ユース五輪は競技レベルの向上に寄与するだけでなく、世界中から注目を集める一大イベントとして、スポーツに打ち込む子供たちにとって新しい大きな目標になったのではないでしょうか。

 
大舞台での緊張やプレッシャーに負けることなく、平常心でプレーできる選手たちの度胸の良さもに感心しました。自己新記録が多く出ていることにもそれは現れていると思います。多くの選手たちのプレーはもちろんまだ完成されたものではなく、荒削りな部分がありましたが、試合の中でプレーを重ねながら自分なりに調整していく適応力や柔軟性にも驚かされました。

 
シンガポールも、開催国として本当に良く頑張ったと思います。まったく初めてのことであり、当初は我々外部の人間にはなかなか大会の全貌が見えてきませんでしたが、ユース五輪開催期間中は国内でも大きな盛り上がりが見られました。

 
世界中から集まった他国の選手たちとの交流を通じて、これまでは国内でのチャンピオンが目標だった選手も世界のトップを目指すなど、目標の立て方や自分の立ち位置への考え方が大きく変わったことでしょう。「スポーツを通して心身を向上させ、さらには文化・国籍など様々な差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」という、クーベルタンが提唱したオリンピックのあるべき姿(オリンピズム)により近いものが、今回のユース五輪によって実現されたのではないでしょうか。

 
ユース五輪がこれからも回を重ねていくごとにより良いものになり、若い選手たちがベストパフォーマンスを発揮できる環境であり続けてほしいと思います。また、参加国にも、ユース世代最高峰のスポーツイベントとしてユース五輪を捉え、今後も大会を盛り上げていくことを希望します。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.174(2010年09月06日発行)」に掲載されたものです。

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