シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX社説「島伝い」TOP視点を変えてみる

社説「島伝い」

2013年10月7日

視点を変えてみる

本誌5ページの記事「外国人雇用規制をさらに厳格化、EPの基準賃金引き上げ」にあるように、来年8月施行の外国人雇用に関する規制が人材開発省(MOM)より発表されました。また、EPの基準賃金も2014年1月から月3,300Sドル以上に変更されるとのこと。2011年6月までは月2,500Sドルが最低賃金でしたが、2年半ほどで3割以上引き上げられることになります。

 
外国籍企業では、母国語を操り、母国の文化や商習慣にも精通している母国出身の従業員を頼りにしがちです。外国人雇用規制が一段と厳格化されることに頭を悩ませている企業も少なくないでしょう。しかし、海外でビジネスを展開している以上、その国のルールを避けて通ることはできません。

 
そこで、今回のMOMの発表を受けて敢えて提案したいのが、とにかくシンガポール人社員を採用してみること。特に中小企業では即戦力に目が行きがちですが、ちょっと視点を変えて、自社が求める人材像に将来的になってくれそうな人材という角度から見て、採用してみるのです。最初は手間もコストもかかりますが、上手に育てることができれば自社にとってはもちろん、シンガポールにとっても大きなメリットになります。

 
ただし、注意しなければならないのが、日本の求人広告にありがちなコピーでも、シンガポールでは使えないものもあること。「新卒歓迎!」や「若手が多い職場環境です!」といったコピーは、使ってはいけない例としてMOMがウェブサイトで公表している資料(”Dos and Don’ts when placing Job Advertisements”)にも掲載されています。国籍や言語、年齢、人種、宗教、性別、配偶者の有無を限定することは原則認められません。ただし、「シンガポール人限定」、「高齢者歓迎」などは可です。また、特定の言語が業務上必須であることを客観的に説明できれば、言語の指定は認められます。

 
上記のことを知らずに人材募集の広告を出すと、一定期間外国人の採用を禁じられる可能性があります。シンガポールで事業を展開する上で必要な知識として、リスク回避のためにもMOMのウェブサイトを早急に確認されることをおすすめします。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.243(2013年10月07日発行)」に掲載されたものです。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX社説「島伝い」TOP視点を変えてみる