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社説「島伝い」

2013年9月16日

当然の権利?

あるブログで「最近のシンガポール人は、COEメンタリティになってはいるのではないか」という記述がありました。シンガポールでCOEと言えば、通常はここ数年5万~ 7万Sドルと高止まりしている新車登録権利書(Certificate of Entitlement)のことですが、ブログで言及されているのは少々違う話。最近、一部のシンガポール国民は、以下のようなことを保証された権利(COE)と信じているようだ、というのです。

 

・少なくとも年に1度はバカンスに出かける
・ストレスだらけではない人生を送る
・安定した職と高い給料を手にする
・車を所有する
・必要なもの(場合によっては欲しいものも)は政府に面倒を見てもらう
・少なくとも週に1度はおしゃれなレストランで食事をする

 
このブログの主はシンガポール人。彼は「シンガポール人ならこれらは本当に当然の権利だろうか?いや、そうは思えない」として、「生きることは大変なのが当たり前。有史以来ずっとそうだ。自分の人生に求めるものは、他人が何かしてくれるのを待つのではなく、自分で時間と労力を費やして手に入れなければならない。そこに近道はない」と、COEメンタリティに対して問題提議しています。

 
COEメンタリティの持ち主は、程度の差はあっても職場の同僚や取引先などで見つけることができるでしょう。先述の項目など当然の権利であるわけがないだろう、というメンタリティの持ち主が、COEメンタリティの持ち主と話しても、なかなかわかり合えないことは想像に難くありません。ただ、相手が自分とは異なる感覚を持っていることを知れば、ビジネスにおいても今までとは違うアプローチが考えられるのではないでしょうか。

 
先述の6項目がすべてイエスだった方は、ある意味シンガポールのトレンドに乗っているともいえます。COEメンタリティの持ち主を相手にした商売やマーケティングで成功する可能性があるかもしれません。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.242(2013年09月16日発行)」に掲載されたものです。

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