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社説「島伝い」

2014年12月1日

イベントから生まれる連鎖

ここ数ヵ月、著名な日本人の来星が続いています。9月には水泳の北島康介選手らトップスイマー、10月にはサッカー男子日本代表、11月には元プロ野球選手の与田剛氏や元柔道選手の山下泰裕氏に加えて、歌舞伎俳優の市川海老蔵氏が訪れました。12月にはサッカー女子日本代表の近賀(きんが)ゆかり選手が来星します。
日本人のプロ選手や俳優によるクオリティの高いパフォーマンスをシンガポールの地で見る喜びはもちろんですが、それをシンガポールの人々に見てもらえることも、日本人としてとても誇らしいものです。また、プロ野球界や柔道界で長年トップレベルの活躍をし、現在も解説者や指導者として第一線で活躍されている方々の話を聞くことは、やはり大きな刺激になります。
さらには、このようなイベントが親子のコミュニケーションにも一役買っているようです。日頃は出張などが多くて家を留守にしがちなお父さんが子供と一緒に参加し、普段とは違った触れ合いが生まれていることが、見ていても感じられます。
11月8日に開催された与田剛氏の講演会は、当初大人の参加者のみが想定されていました。しかし、子供連れでの参加希望も多く、当日の会場には大人に交じって子供達の姿も。彼らの多くは、90年代に与田氏が投手として大活躍していたことはおそらく知らないでしょう。しかし、講演会が始まると与田氏の話に熱心に耳を傾け、質疑応答では積極的に質問していました。家に帰った後も、与田氏や野球の話に親子で盛り上がったという方も多かったことでしょう。
イベントは、著名人を招けば、経験豊富な主催者が手がければ、あるいは参加者が多ければ必ず成功する、というものではありません。メインとなるゲストはもちろん、イベントの段取りや様々な調整に奔走し、当日の運営に尽力する主催者側、そしてスケジュールの都合を付けて会場まで足を運び、イベントに積極的に関わる参加者、それぞれがうまく組み合わさって初めて、その誰もが「また来たい」「またやりたい」「また参加したい」と思えるものが生まれます。今後も良い連鎖を生む様々なイベントがシンガポールで開催されることを期待しています。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.270(2014年12月01日発行)」に掲載されたものです。

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