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表紙の人

Vol.354

2020年1月27日

山本 裕子さん

ケルビンチアパートナーシップ 法律事務所 日本法弁護士、シンガポール外国法弁護士

 神戸市出身。大学時代、尊敬する恩師と出会い、弁護士を志す。学者として第一線で活躍する一方、留学生のために自宅を改築して居住場所を提供するなど、経済的に弱い立場の人のために惜しみなく活動される先生の姿に感銘を受ける。自分も法律の分野で活躍しながら、弱い立場の人の支えとなれるような人になりたいと憧れたという。
 
 先生からの勧めもあり、マレーシアの法律事務所で法律英語を磨きながら渉外法務を経験。この時の経験が、将来国際的に活躍できる弁護士になりたいという強い思いにつながったそうだ。ロースクールを卒業し司法試験合格後、台湾大学へ留学。現地の法律事務所で働きながら中国語を習得した。2017年シンガポールに移住。英語と中国語の両方を活かせるこの国での弁護士業務に大いに魅力を感じた。
 
 来星当初は、国際商事仲裁、クロスボーダーのM&A、労働法などの案件を担当。現在は、自身の専門分野である企業法務に加え、現地弁護士と協働して国際離婚や刑事事件などの案件も扱い、業務の幅を広げるため日々の研鑚を欠かさない。
 
 どんな案件でもクライアントからの信頼を得ることに最大限に注力しているという。併せて、クライアントが何を求めているのかしっかりと捉え、痒い所に手が届くような細部まで行き届いた仕事を心がけている。案件に応じた十分な事実調査や過去の判例理解への研鑽も欠かさない。丁寧な仕事、クライアントに寄り添う姿勢、強い責任感が相俟って、企業クライアントからの信頼も厚い。
 
 辛い思いをしている個人クライアントには、「どんなに悲しい経験でも、無駄にはならないから」と励まし、一緒に苦難を乗り越えているという。自身が様々な経験をしてきたからこそ説得力のある言葉だ。
 
 仕事で落ち込み、自分の心をリセットしたくなった時には、マーライオンパークに足を運ぶ。ここから望むマリーナベイサンズの美しい夜景を見渡すと、遠く日本を離れ、この国に夢を持ってやってきた頃の初心に戻れるのだという。また、休日に図書館やカフェで勉強に勤しむことも。時間がもっと欲しいと語るその眼差しの奥には、夢を実現し続けていきたいという強い思いが窺えた。
 
 これからもクライアントの思いに心を寄せつつ、自らの目標に向かって邁進していくに違いない。
 

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