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表紙の人

Vol.353

2019年12月25日

毛利 由佳さん

ELIXIA SG PTE.LTD. Director 株式会社エリクシア 海外事業部

 群馬生まれ埼玉育ち。医師家系に生まれ、物心ついたときから医学に密接な環境で育つ。幼い頃から救急病棟や小児病棟など医療に関する本を読むのが好きだった。
 
 日本医科大学医学部医学科卒業後は外科医として10年。予防できたであろう疾患に数多く遭遇し、予防医学の重要性に気付く。そこで思いついたのが「産業医」だ。外科医を続けながら定期的に企業に出向き、健康診断の結果が悪いが症状が出ていない人たち、過重労働などでストレスを抱えている人たちを面談する。外科医時代に患者や家族のメンタル対応をしてきた経験も生かされた。早い段階で心身状態の悪化に対処したい。そんな志を抱きつつ、外科医と嘱託産業医の2足のわらじ生活をしばらく続けた。しかし、出産を機に産業医1本で歩むことを決意する。
 
 仕事への復帰を心待ちにする日々。「乳飲み子を連れての海外生活。友達もいないし、言葉も通じない。仕事をしたくても出来ない状況下で、大きな不安を感じていた」という。「あの時の不安感や孤独感こそ、誰かの力になるために必要だった」――自らのミッションを再確認し、仕事を再開。「変化は良くも悪くもストレスになる」赴任後、落ち着いたあたりに訪れるメンタルの不調を感じる人たちに大いに共感する。ただ、当地では日本で言う「産業医」というものが認知されていない。「まずは私たちの取り組みを知ってもらいたい」といい“働く幸せの最大化”を広く実現していくためにも「同じ想いを持って一緒に活動してくれる仲間を増やしていきたい」と今後の意気込みを語る。
 
 趣味は建築鑑賞。昔は建築士の道を考えたこともあるくらい、様々な建築物の外観や間取りを見るのが好きだ。シンガポールを「これだけ多種多様な人々がいながら互いを受け入れる土台がある。多様性を学ぶ上でベストな国」だと言う。一人一人が美しく尊い存在。これを尊べてこそ、それぞれが輝ける。「みんな違って、みんないい」。そんな社会が実現することを胸に抱きつつ、今日も企業戦士に向き合い、共に考え、エールを送り続けている。
 

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