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Vol.314

2016年11月21日

光嶋 美香さん

シンガポール日本人学校 中学部 国語教諭

vol314_cover岡山県出身。岡山大学大学院博士前期課程修了。中学生の頃、ふとしたきっかけで自宅にあった「源氏物語」を読み、その世界観に魅了された。物語の中に散りばめられた、言葉遣いの繊細さや表現の豊かさに感銘を受けたことが、国語教師を志した原動力となっている。大学を卒業した後も教師の職と並行して大学院に通い、より深く研究したが今だに興味が尽きないという。

 

来星のきっかけは、かつての勤務先だった岡山市の学校で行われた、海外提携校との交流授業。通常、海外の生徒を受け入れる際には、言葉の問題もあり英語教諭が担当となることが多い。しかしそのような状況を見ているうちに、光嶋さんにある思いが生まれた。「グローバルな人材が求められる時代だからこそ、国語教師が日本人としてのアイデンティティをしっかり持つことや、美しい日本語・日本の文化を発信することが大切なのでは、と考えるようになりました。自分の経験を生かして、海外にいる子供たちに国語や伝統文化を教えたいと思ったんです」。そして海外の学校での勤務を希望、2014年に来星した。現在はシンガポール日本人学校の中学部で国語教諭を務める。36人の生徒の担任でもあり、一番好きな場所は「自分のクラスの教室」というほど、生徒たちと充実した毎日を過ごしている。

 

そんな光嶋さんのもう一つの才能が、5歳で始めた書道。幼少の頃から大会に応募すれば賞を取るほど天賦の才に恵まれ、高校2年時にはインターハイの文化版とも言える全国高校総合文化祭の書道部門で岡山県の代表に選ばれた。2012年には岡山県の文化連盟主催の芸術祭イベントで、後楽園で書道パフォーマンスを行うなどの実績を重ねた。当地でもその腕前を生かし、今年9月にユニクロがオーチャード店をオープンした際には、ジャパンクリエイティブセンターとのコラボ展示として作品を提供。店内に飾られた作品は1ヵ月間にわたり多くの人の目を楽しませた。

 

今後の目標は、グローバル人材の育成と、日本の伝統文化の伝承。「英語が喋れることに加え、日本人としてのアイデンティティをしっかり持った国際人を育てたいです」。来春からは中学部にグローバルクラスが設置されるなど、ますます活躍の場が広がる。国語教師としてまた書道家として、当地で日本人の心を伝え続けている。

 

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この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.314(2016年11月21日発行)」に掲載されたものです。

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