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嶋津良智の「リーダーにつける薬」

2013年9月2日

リーダーとして新入社員へアドバイスしてほしいこと

4月に新年度がスタートし、新入社員を迎え入れた会社も多いことでしょう。会社の新たなる顔となる就職戦線を勝ち抜いた新入社員が部下となり、新人の教育に忙しい日々を送っている諸先輩方もいるのではないでしょうか。
 
8月に入り、夏休みを迎える中で、8月病などというものもあるようです。これは、夏休みに入り、久しぶりに旧友と会って「俺は何をやっているんだろう……」「私はこのままでいいのだろうか……」と、給料が安い、仕事がつまらない、上司が気に入らないといった会社に付き物の今後の不安に対して、いろいろと考えてしまう新人が多いことを言うそうです。しかし、そこを乗り越えてこそ新たな一歩が発見できるのではないでしょうか。
 
私は1987年バブル入社組ですが、入った会社が飛び込み営業を基本とした、非常に厳しい会社でした。それこそ、当時支社と言われた部門に私を含めて14名の新人が配属されましたが、1ヵ月後のゴールデンウィーク明けには半分の7名が退社してしまったという状況でした。
 
私は結局6年間お世話になりましたが、本当に頑張ってよかったと思っています。冗談半分で辞めようと思ったことは何十回もありますし、本当に辞めようと思ったことも1回だけありましたが、いろいろなことを乗り越えた結果、強靭な生きていくための心の筋肉がついたような気がします。
 
正直元々入りたくて入った会社でも、やりたかった仕事でもなく、更には何のとりえも能力もなく、流されるがままに就職をした会社だったので、いつでも辞めることはできました。しかし、たった1回本気で辞めようと思って、人生の先輩でありビジネスの先輩である父に相談をしたとき、「石の上にも3年」と言う言葉をもらい、どんなことがあろうとも3年は踏ん張ろうと思いました。、その半年後、私のビジネス人生に大きな変化をもたらす転機が訪れ、それが私の人生を大きく変えたといっても過言ではありません。
 
「見極め」は大切ですが、「諦め」や「逃げ根性」はよくありません。桜は、1年のうち、春にたった1週間の輝くときを過ごすために、暑い夏に耐え、寒い冬を乗り越えてたくさんの人を魅了する輝きを解き放つのです。逆を言えば、その輝きは、暑い夏も寒い冬も乗り越えたものだけに与えられる勲章のようなものです。
 
長い社会生活を過ごしていくに当たり、「よくもこんなに俺をいじめてくれるな」と思いたくなるくらい、たくさんの困難が次から次へと反吐(へど)が出るくらい降りかかってきます。しかし、そういった一つ一つを乗り越えるからこそ、時間をかけて人間力も鍛えられていきます。ぜひ、自分で自分を育てる気持ちを持って、どんな困難にも立ち向かって乗り越えられる、強靭な心の筋肉を身につけてください。

文=嶋津良智(しまづよしのり)


株式会社リーダーズアカデミー
代表、シンガポール在住。
2度の株式上場体験を活かし、日本・シンガポールを始め、アジアを中心に経営コンサルとして活動。世界9ヵ国12都市でチャリティーセミナー実施。
最強の部下を育成し、最強の組織を作る、業績向上のための独自プログラム『上司学』が好評を博す。著書7冊執筆、韓国・台湾でも翻訳されている。

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.241(2013年09月02日発行)」に掲載されたものです。

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