シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP【第7回】自己資金以外のお金を活用した投資術

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2014年4月21日

【第7回】自己資金以外のお金を活用した投資術

第6回のコラムでは、“円安トレンド”の場合には、為替利益が外貨投資の運用を押し上げたりカバーしてくれるため、『外貨投資が有利である』ということについて、具体的な例を挙げてお話させていただきました。

今回は、自己資金以外のお金を活用した投資方法として『レバレッジ投資術』についてお話したいと思います。

「レバレッジ」とは?

「レバレッジ」とは、いわゆる「てこの原理」のことで、他人資本(借り入れなど)を使うことで、自己資本(自己資金)に対する利益率を高めること、またはその高まる倍率を言います。

例えば、【総資産 = 自己資本+ 他人資本】とするとき、Aさんが、100万円の自己資本を持っている場合、総資産は100万円です。
そのAさんが、投資活動によって、総資産100万円から年間10万円の利益を得た場合、100万円の自己資本に対して、その利益率は10%となります。この投資活動にレバレッジは活用されていません。

次に、Aさんは、400万円の借り入れ(他人資本)を行い、総資産を500万円(レバレッジ5倍)として、同様の投資活動をした場合、総資産500万円からは50万円の利益を得ることになります。400万円の借り入れに対する金利支払いが、5%の20万円だとすると、Aさんの利益は30万円となります。これで、Aさんの自己資本に対する利益率は30%となります。

レバレッジを活用したことにより、レバレッジを活用しない場合に比べて、Aさんの利益は3倍になりますね。このように、レバレッジを用いることで、自己資本を効率よく運用することが可能となるわけです。

レバレッジのメリット

レバレッジのメリットには、「自己資本を効率よく運用すること」の他に、「少額資金で大きな取引を可能にする」という点が挙げられます。

不動産では、年収の2〜20倍の借り入れ(レバレッジ)が、一定以上の条件の上、可能とされており、例えば年収700万以上の上場企業勤務の人の場合は、頭金500万円としたときに、4,500万円を銀行などの金融機関から借り入れし、5,000万円相当の不動産投資(レバレッジ10倍)が可能となったりします。

また、5,000万円の不動産投資で年間3%の利回りが出ると想定すると、年間150万円の利益(リターン)得ることができるわけですが、自己資本は頭金の500万円になりますので、年間150万円の利益というのは、その自己資金500万円に対して年間30%の利回りと考えることができます。
これはレバレッジによって自己資本を効率よく運用することができたということになりますね。

このように、少額資金でも大きな取引ができ、場合によっては大きな利益率を実現できる資金効率の良さが、レバレッジの一番のメリットなのです。

レバレッジのデメリット

レバレッジのデメリットは、メリットと表裏一体のものであり、レバレッジによって利益を大きくすることが可能となるのと同じ分だけ、「損失の幅が大きくなること」です。
レバレッジを大きくかけてしまうと、ちょっとした相場の変動でも損失の幅が大きくなってしまうのです。利益率と取引金額を最大化できるのがレバレッジのメリットですが、一方でレバレッジを高めた取引を行うと、損失にもテコがかかってしまう、というデメリットがあります。

例えば、先ほどの不動産投資の例をとって説明しますと、5,000万円の不動産投資で年間3%の利回りではなく「年間3%の損失」が出ると想定します。そうすると、年間150万円の損失が発生することになり、自己資本は頭金の500万円になりますので、年間150万円の損失というのは、その自己資金500万円に対して年間30%の損失であると考えることができます。

このように、レバレッジによって取引金額を大きくし、自己資本を効率よく運用したことの反動として、損失が発生したときにはその損失の幅もレバレッジをかけた分、大きくなる、ということが、レバレッジの最大のデメリットなのです。

レバレッジは使い方が大事

レバレッジのデメリットを知ることは、レバレッジをかけて自分が投資を行う上でのリスクをしっかり把握することに繋がります。

確かに、レバレッジのデメリットを考えると、レバレッジをかけることに対してリスクを強く感じるかもしれません。しかし、レバレッジのもつメリットを考えると、資産運用を行う上では、有効な手段の一つだと言えます。したがって、レバレッジのメリットとデメリットをきちんと理解し、レバレッジを使いこなして、ご自身の資産運用に活かしていきましょう。

次回は、「投資信託とその選ぶポイント」についてお伝えします。

mikataaプロフィール

三方 麻琴(Mikata Makoto)

M&R Partners Pte. Ltd. Managing Director

– Official site: http://mikatamakoto.jp

– Official blog: http://mikatamakoto.jp/blog.html

– Official mail magazine: http://mikatamakoto.jp/mailmaga.html

※この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.255(2014年04月21日発行)」に書ききれなかった内容・補足をご紹介しています。

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