2014年11月17日
Q.「海外勤務中にケガ、日本の労災は受けられる!?」~“出張”と“派遣”で労災の取扱は異なる~
出向者として海外で働く場合は、「出張」に該当しないため、労働者災害補償保険(以下、労災)は原則適用されません。労災は、労働者の業務上または通勤途上による負傷等に対して給付を行いますが、海外勤務者の労災は「出張」と「派遣(出向)」に区別されています。出張に該当すれば国内同様に給付が受けられますが、派遣(出向)に該当すれば、原則給付を受けられません。ここでいう、出張とは、単に勤務場所が海外で社員の所属も指揮命令も日本にある場合であり、一方、派遣(出向)とは、社員が海外法人に所属し指揮命令を受けて勤務する場合です。会社ごとの呼称や期間によって、区別されないのでご注意下さい。ご質問では、社員はシンガポール法人に所属し、指揮命令を受けて勤務しているので、出張ではなく派遣(出向)にあたると考えられます。そのため、労災は原則適用されません。親会社では、「勤務期間が短い」という理由で出張扱いとされたようですが、実態で判断されます。なお、労災の特別加入の手続きをすれば、給付を受けることができますので、早めに手続きをすることをお勧めします。
社労士大槻オフィスシンガポール
80 Robinson Road #10-01A Singapore 068898
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この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.269(2014年11月17日発行)」に掲載されたものです。