2025年6月2日
Q.シンガポールにおける会社設立について
目次
- Q1. シンガポールで会社を設立する際に必要とされていた「シンガポール人またはPR(永住権)保持者を1名役員として含める」要件は、変更されていますか。シンガポール人またはPR(永住権)保持者でなくても、EntrePass、Employment Pass、Dependant Pass等で就労許可証を持っていれば役員登録ができると聞きましたが、現在の設立条件を教えてください。
- Q2. 当社は、お酒類、加工品などの販売をする会社で年内に会社設立を考えています。事前に準備しなければならないこと、設立時に気を付けなければならないことなど教えてください。
- Q3. 外注で会社設立をお願いした場合の費用なども教えていただけますか。
Q1. シンガポールで会社を設立する際に必要とされていた「シンガポール人またはPR(永住権)保持者を1名役員として含める」要件は、変更されていますか。シンガポール人またはPR(永住権)保持者でなくても、EntrePass、Employment Pass、Dependant Pass等で就労許可証を持っていれば役員登録ができると聞きましたが、現在の設立条件を教えてください。
A1. 全てのシンガポール法人はシンガポールに居住する取締役(以下、「居住取締役」)を少なくとも1名選任する必要があります。シンガポール国民、PR保持者以外に特定の就労許可証保持者を選任することができますが、以下の要件を満たすことが必要になります。
(1)Employment Pass保持者
シンガポール法人の設立時に居住取締役として任命することはできません。ただし、事前に労働省(MOM)から2社目の取締役に就任する許可書(Letter of Consent for Secondary Directorship)を取得している場合には、この限りではありません。本許可書は、会社設立後に取得することもでき(諸条件あり)、許可書を取得したEmployment Pass保持者は、取締役に就任することができます。
(2)Overseas Networks & Expertise Pass (ONE Pass)保持者
シンガポール法人の設立時に居住取締役として任命することができます。
(3)Entre Pass保持者
就労許可証に関連する法人の居住取締役として任命することができます。
(4)Dependent’s Pass保持者
シンガポール法人の設立時に居住取締役として任命することはできません。一般的には別途、許可が必要であったり、別の就労許可証の取得が必要になります。
なお、会社設立時に居住取締役の選任が難しい場合には、設立を委託する現地事務所等に代理で取締役を依頼することができます。
Q2. 当社は、お酒類、加工品などの販売をする会社で年内に会社設立を考えています。事前に準備しなければならないこと、設立時に気を付けなければならないことなど教えてください。
A2. シンガポールにおいて特定の事業を行うには、関連するライセンス、許可が必要です。例えば、お酒類、食品を販売するには、それぞれの販売免許の取得が必要になります。特に、食品安全は法律により厳しく規制されており、厳格な食品安全基準が継続的に遵守されるよう関連機関が監督を行っています。
また、一部の輸入品は輸入管理品目と定められており、それらの輸入は所轄官庁が管理しています。例えば、食品は輸入管理品目に該当し、事前にライセンスの申請が必要です。より詳細な情報につきましてはこちらまでお問い合わせください。
Q3. 外注で会社設立をお願いした場合の費用なども教えていただけますか。
A3. 弊所コーポレートサービスでは、個人株主1名の場合の会社設立にかかる費用は、S$2,000から(諸経費、税を除く)となっております。また、会社秘書役(コーポレートセクレタリー)サービスも承っておりますが、コーポレートセクレタリーの費用は別途発生します。
シンガポールでは、全ての法人がシンガポール在住の会社秘書役を少なくとも一人を任命することが必須となっています。会社秘書役は、会社の法定書類や会計を管理し、会社が法令を遵守するよう務めます。日本で言う司法書士と監査役に近い役割となっていますが、監査ではありません。会社の形態により会社秘書役の役割も異なると考えられますので、詳しくは専門家に相談されることが推奨されます。