2024年12月4日
Q.シンガポールにおける入国管理について
目次
Q1. シンガポールの入国管理について教えてください。
A. シンガポール入国管理局(Immigration & Checkpoints Authority: ICA)は、入国手続きや外国人在留の公正な管理を担当しています。 シンガポールには以下の入国審査所があります。
●航空路:チャンギ空港の入国審査所
●陸路:トゥアス国境検問所、ウッドランズ国境検問所、ウッドランズ・トレイン国境検問所
●海路:主に旅行者が利用するマリーナベイクルーズセンターやタナメラフェリーターミナル
(貨物船や漁船はトゥアス・ポイント、ジュロン港、ジュロン漁港を利用します。)
ICAは、以下のようなシンガポール滞在者の入国管理を行っています。
●ピンク色のNRICカード保持者:シンガポール国民
●青色のNRICカード保持者:永住権保持者
●長期滞在パス (Long-Term Visit Pass: LTVP): 保持者国民または永住権保持者の配偶、21歳以下の未婚の子供、永住権保持者の親など
●学生パス保持者
●就労ビザ保持者:人材開発省(the Ministry of Manpower: MOM)が管轄
また、シンガポール国民と婚姻の予定がある外国人向けには、「婚前長期滞在ビザ評価 (Pre-Marriage Long-Term Visit Pass Assessment :PMLA)制度」があり、婚約後にLTVPをスムーズに取得できる仕組みがあります。
Q2. MOMとICAの関係について教えてください。
A. シンガポールで就労を希望する者は、基本的に入国前にMOMが発行する就労ビザである以下の「ワークパス」を取得しなければなりません(2024年11月現在)。
専門職向けワークパス
●エンプロイメントパス(Employment Pass:EP)
最低月給固定額がS$5,000。
COMPASS制度の基準を満たす必要があり、スポンサー企業が必須。
●アントレパス(Entre Pass)
シンガポールで起業予定の外国人起業家が対象。
●パーソナライズ エンプロイメントパス(Personalised Employment Pass: PEP)
最低月給固定額がS$22,500。申請時に直近6ヵ月分の給与明細が必要。
ACRA登録会社の株主や個人事業主やパートナー、EP保持者等は対象外。
●海外ネットワーク エキスパートパス(Overseas networks Expertise Pass: ONE Pass)
申請日以前12ヵ月間の月給固定額がS$30,000以上。
ビジネス、芸術、文化、スポーツ、学術分野でトップの人材が対象。
中技能熟練労働者向けワークパス(Work Pass)
●Sパス(S Pass)
最低月給固定額がS$3,150。
●ワークパーミット(Work Permit)
建設業、製造業、海運業等で働く作業員が対象。
家事労働者や産褥ナニー、パフォーマー向けの特定ワークパーミットも存在。
帯同家族向けワークパス (Work Pass)
●ディペンデントパス(Dependent’s Pass: DP)
EP又はSパス保持者の配偶者と21歳未満の子供が対象。
世帯収入ではなく、EP又はSパス保持者単独の最低月給固定額はS$6,000。
DP保持者はシンガポールで就労希望の場合、別途EP/S Pass/ワークパーミットの申請が必要。
●長期滞在パス(Long-Term Visit Pass: LTVP)
EP又はSパス保持者の親、内縁の配偶や、21歳以上障害をもつ未婚の子供、21歳未満の未婚の連れ子が対象。
世帯収入ではなく、EP又はSパス保持者単独の最低月給固定額はS$6,000(親が申請対象の場合はS$,12000)。
●労働許可の事前同意書(Pre-approved Letter of Consent: PLOC)
シンガポール国民又は永住権保持者の配偶又は子供が対象。
本人がLTVPの申請又は更新時に申請。申請する際には内定がなくてもよい。
●LTVP保持者向け労働許可の同意書(Letter of Consent for ICA-issued LTVP/LTVP+ holders)
シンガポール国民又は永住権保持者の配偶者又は子供が対象。
ICAが発行する有効なLTVP(3ヵ月以上の有効期限が必要)を保持し、申請者の雇用主が同意書を申請。
同意書以外にはEP/S Pass/ワークパーミットの申請が必要。同意書を取得後に勤務の開始が可能。
●DP保持者の事業主向け同意書(Letter of Consent for Dependant’s Pass holders who are business owners)
シンガポールで事業を営む予定あるいは営んでいるDP保持者が、以下の何れかに該当する者が対象。同意書の有効期間、更新の要件等は諸条件が考慮される。
- ACRA登記事業の個人事業主や株主(持株率30%以上)
- ACRA登記事業のパートナー
Q3. 各種就労ビザ、ワークパスの申請は難しいでしょうか。
A. 各ビザやワークパスごとに要件が異なるので手続きは複雑です。シンガポール国民、外国人を問わず、規定外の就労をして罰則の対象となった事例も報告されています。
ICAやMOMの公式ウェブサイトには、申請状況を確認できるポータルが設けられています。ただし、ICAは、特定の就労パス取得をサポートするコンサルタントや非営利団体を推奨していません。そのため、手続きの効率化や迅速化を図る場合は、専門家の意見やサービスを利用することが推奨されます。