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2010年1月18日

より充実した豊かな人生を、アジアの女性のために。

Nanz inc Group Pte Ltd Founder ナンズーチョン・コモ氏

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より良く生きる女性の為のポータルサイト「Nanzinc.com」の誕生

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「外ではプロフェッショナルとして、家庭では妻、母として、そして娘として、日常的に女性は何かと多くの役割を背負いながら、自分のことを後回しにしがち。とかくアジアにおいては、慣習的に女性の社会的地位が高くないこともあり、自己評価も低めの傾向がある。そんな女性たちが、自分のポテンシャルを最大限に発揮して生き生きとした人生を楽しむためのきっかけづくりをしたかったんです。」と、Nanzinc.comのポータルサイトの創設者の1人であるナンズ・チョン−コモさんは語ってくれた。シンガポールを含む東南アジアにおいて、女性向けのポータルサイトとして、統括的に情報を発信しているサイトはまだ少ない。Nanzinc.comは、その先駆け的存在であり、特に女性のライフスタイルや自己啓発のためのトピックに特化しているという意味では初めてのものになるという。Nanzinc.comは、いわば、ナンズさんをパーソナリティーとした女性のための「オンラインのトーク番組」で、あらゆる角度から現在のアジア女性の関心事を幅広く取り上げ、広く多くの女性にリーチすることを目指している。

 

サイトには、女性のビジネスマインド、キャリア、お金、ファッション、ハイテク、自己啓発、健康、結婚などのトピックがカテゴリー分けされ、最新のニュース、論説やエッセイが定期的に更新されている。また、ナンズさんは、「それぞれのトピックについて、我々が読む人に是か非かを問うのが目的ではなくて、アジアに暮らす現代の女性がふと何かを考えるきっかけになることが大事だと考えます。またそれに関して、自由に自分の意見や経験などを表現できる場ともなりたいです。」と言う。すっきりしながら主張のあるポータル作りが見て取れる画面は、確かに女性誌をパラパラめくるような気軽さの中に、思わず読み込んでしまうトピックが目につく。気になるトピックには自分の意見を書き込む事もでき、またキーワードで検索すると、過去に掲載された情報やストーリーを閲覧することもできる。

 

 

自分の経験と人との出会いでカタチになった「Nanzinc.com」

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シンガポールでは、ナンズさんは女性起業家として知られてきた。20代から始めたモデルやブティック経営を経て、1997年に店内の商品が全て1ドル99セントという日本の100円ショップをビジネスモデルにした「One.99shop」を設立、そのビジネスで成功を納め、時の人となった。2000年度に国内で最優秀起業家賞を受賞して注目を集めたものの、SARSの影響を受け、2003年には14店舗にまで拡大していたビジネスを畳むという辛い経験もした。しかし、ビジネスを離れたことで、家族との絆を強められたことが何よりも良かった、と当時を振り返る。その後、ビジネスでの成功と挫折の経験から学んだことを99のレッスンとして著した『One Business 99 Lessons』を出版。国内でベストセラーとなり、その後、講演会の依頼を受けたり、コーチングに携わったりと多くの人に自分の経験を分かち合う方向へとシフトすることになった。

 

そんなナンズさんが、Nanzinc.comのポータルを立ち上げたのはむしろ自然なことだった。「東南アジア全体を含めて、女性の生き方に特化したポータルサイトがなかったですし、私自身も講演会やコーチングでは、一度に語りかけられる人数に限界があることが歯がゆかった。ポータルサイトを通せばその数がいくらでも増えることが魅力です。また、ネットワーク作りが上手く、口コミなどに見られる女性特有の“共有”する精神が活かせるのもその強み。」と説明した。

 

今回のNanzinc.comを実現するのに欠かせない存在となっているのが、『One Business 99 Lessons』の編集を担当した、ナンズさんのビジネスパートナーであるテレサ・タンさんだ。タンさんは、雑誌の編集職のキャリアも長く、企業とのタイアップを企 画することなども得意とすることから、Nanzinc.comの内容の充実や関連イベントの企画に注力している。公私ともに友情を深めてきた二人は、偶然にも年齢の近い3人の子供の母でもある。タンさんは、「ビジネスで成功と挫折を経験しながらも、結婚生活と3人の子育てとのバランスを取りつつ常に前向きに生きてきたパワフルなナンズさんは、現代女性の理想に近い存在。生き生きと充実したライフスタイルを実現している女性のシンボルとして、ナンズさんそのものがNanzinc.com全体のフレームワークになっているのです。」と、そのコンセプトを語った。

 

現在、Nanzinc.comは同じ志を持つ4名のスタッフで運営されている。当面は、Nanzinc.comの目的に賛同し、その将来性を見込んでくれた企業によるサイト内のバナー広告収入などでコストを賄う。今後は、会員制やイベントなどを開催しながらそのビジネスモデルの充実を図っていく予定だ。Nanzinc.comは、各種メディアにも取り上げられ、10月末にサイトがオープンしてから約1ヵ月半の間に23万回ものアクセス数を記録、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)のユーザーのファン登録数も着実に増えている。現在は、それらとニュースレター購読の登録者と併せて、4万人近くの人々に定期的にメッセージを発信している。登録しているユーザーの中には、男性も多く含まれているという。「女性の気持ちや、考えている事を知りたいと思う男性がNanzinc.comのファンとして参加してくれるというのは、嬉しい事ですよね。」とナンズさんは笑う。

 

前向きな気持ちは周囲に伝わり、自ずと夢を気付かせてくれる。

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香港生まれのナンズさんは、30年以上シンガポールに暮らしており、ハワイ生まれの日系3世であるご主人との間に6才、5才、3才の子供達がいる。現在は、Nanzinc.comを運営する傍ら、住民開発委員会(Community Development Council)のカウンセラーとして、地域のための仕事もしながら公私共々忙しい日々を送っている。

 

ナンズさんの信条をたずねると、「まず自分を受け入れること。自分の能力や容姿、これまでの経験など、どんなことでも受け入れることができたら、次へ進むことができる。運命だと甘んじるのではなく、そこからより良く生きるための努力を自分なりに続けるということですね。」と答えた。今後は、100万人の女性と向き合うことを目標に、自分の経験を役立てながら、何らかの形で励ましていけたら、と抱負を語ってくれた。また、中国の農村部など、発展途上地域の教育問題を解決するために、学校建設のイニシアチブも取っていきたい、とそのビジョンは留まるところを知らない。

 

そんなナンズさんのエネルギーと前向きな語りかけには、周囲を魅きつける力がある。Nanzinc.comのサイト内にある、ナンズさんのビデオクリップからも、そのエネルギーを垣間みることができる。現在、Nanzinc.comは英語のみが使用されているが、今後中国語やマレー語などに翻訳されていく予定。ナンズさんの笑顔は、近い将来アジア中に広がり、多くの人を励ましていくに違いない。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.160(2010年01月18日発行)」に掲載されたものです。
文=桑島千春

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