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海外進出「社会保険・労務管理」

2021年3月2日

Q.フリーランス契約になったら社会保険はどうなるの?

社会保険、雇用保険はすべて喪失される

 

Q. 私は、海外赴任で渡星して7年近く経つ者です。現在私が勤務している会社では、今後社員が希望した場合、業務実態を踏まえた上で問題がなければ、フリーランスとして契約することを検討しているようです。
 そこで質問ですが、仮にフリーランス契約となった場合は、現在加入中の社会保険はどうなるのでしょうか。ご教示ください。(Mさん)

 
A. フリーランス契約を締結すれば、現在加入中の社会保険(健康保険、厚生年金)、雇用保険の資格を喪失することになります。社会保険は、日本の会社に雇用され、日本法人から給与が直接支払われている場合は加入しなければなりませんが、フリーランスの場合、会社を退職して個人事業主になりますのでで、通常の退職と同様に社会保険の資格は喪失することになります。なお、健康保険については、2か月以上加入していれば2年間を限度に任意継続被保険者として、引き続き健康保険(社会保険)に加入することができます。任意継続被保険者とは、在職時の2倍の保険料(上限あり)を支払うことにより健康保険(社会保険)に継続して加入できる制度です。一方、厚生年金については、そのような制度はありませんが、年金制度に加入したい場合は、国民年金には任意で加入することもできます。なお、配偶者が国民年金第3号だった場合は、配偶者も国民年金第3号ではなくなってしまいますので、ご注意ください。
 
 また、退職後に失業給付等を受給できる雇用保険についても、フリーランスとなれば喪失します。失業給付は、原則退職してから1年以内に日本国内で就職活動をし、失業状態の場合に受給できる制度なので、失業給付を受給できなくなるおそれがあります。
 
 さらに、労働者であれば仕事や通勤途中に怪我等をした場合は、労災保険の対象(海外赴任の場合は特別加入している場合に限る)となりますが、こちらもフリーランスとなれば対象外となります。このように、フリーランス契約は、会社を退職し個人事業主となるので、通常の退職と同様に社会保険等がすべて喪失することになるため、ご注意ください。
 


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このコラムの回答者

武澤 健太郎
社会保険労務士法人
大槻経営労務管理事務所

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