シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP短期在留外国人。払った年金保険料は掛け捨て?

海外進出「社会保険・労務管理」

2021年1月4日

Q.短期在留外国人。払った年金保険料は掛け捨て?

脱退一時金の手続で一部返金も可能。2021年4月から上限が5年に

 

Q. 私は中国人ですが、日本に住んでいた時、7年ほど会社に勤め、厚生年金にも加入していました。
 日本の年金は、保険料を数十年間払わないと将来年金をもらえない制度と聞いていますが、私が払った保険料は無駄になってしまうのでしょうか。
 保険料分を返金してもらえる手続きがあれば教えてください。(Hさん)

 
A. Hさんが支払った厚生年金保険料ですが、日本に住所を有しなくなった日から2年を経過していなければ、脱退一時金を請求することで一部を返金してもらえます。脱退一時金は、外国人のうち年金の受給権を満たしていない方のみ請求できますが、具体的には、①年金の加入期間の合計が6カ月以上あること、②日本国籍を有しない方であること、③老齢厚生年金等の年金の受給権(保険料納付期間等が10年で65歳以上)を満たしていないことが要件になっています。脱退一時金の金額は、被保険者であった期間の平均標準報酬月額×支給率によって計算されます。なお支給率は、保険料率×1/2に厚生年金に加入していた期間に応じた6~36(3年以上は36)の係数を掛けて計算されます。ですので、Hさんの場合は、厚生年金に7年加入しているとのことですが、例えば平均標準報酬月額が30 万円の場合は、30万円×36×9.15%(保険料率・令和2年)=988,200円がもらえるわけです。なお、この脱退一時金ですが、現在は加入期間が3年以上では36カ月が上限となっていますが、2021年4月からは5年(60カ月)が上限となります。
 
 脱退一時金の手続きは、請求書に①パスポートの写し(氏名・生年月日・国籍・署名・在留資格・出国日を確認できるページの写し)、②振込口座および請求者本人の口座名義であることが確認できる書類、③年金手帳等基礎年金番号が確認できる書類を添付して日本年金機構に対して手続きを取ることになります。なお、脱退一時金は、国民年金、または厚生年金保険の被保険者資格を喪失し、日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に請求しなければなりませんので、ご注意ください。
 


社労士大槻オフィスシンガポール
80 Robinson Road, #10-01A Singapore 068898
http://www.otuki.org
ご相談はE-mailにてご連絡ください。
Singapore@otuki.org (担当:武田 正行)

 

このコラムの回答者

武澤 健太郎
社会保険労務士法人
大槻経営労務管理事務所

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP短期在留外国人。払った年金保険料は掛け捨て?