シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP給与が減額されても社会保険料は変わらない?

海外進出「社会保険・労務管理」

2020年10月1日

Q.給与が減額されても社会保険料は変わらない?

~随時改定の要件に該当すれば、4カ月後に変更される~

 

Q. 私は4月まで海外赴任でしたが、新型コロナウイルスの影響で5月から日本に帰国して、現在はリモートで海外とやり取りをしています。
 
 6月から私の所属が本社付けとなり、国内給与に変更されたので、かなり給与が下がってしまいましたが、社会保険料は以前と変わらず高いままです。以前、社会保険料の見直しは、1年に1回と聞いた記憶もあるのですが、この先も高いままなのでしょうか。(Bさん)

 
A. 厚生年金、健康保険などの社会保険を理解するために、重要となるのが「標準報酬月額」(以下、標月)です。知らない人が多いのですが、実はこの標月は、社会保険の事務処理を簡略化するために考えられた仕組みで、給与や将来支給される年金額までを大きく左右する大変重要なキーワードです。具体的には、給与をおよそ1万円から6万円の幅で区分した等級のこと。これは、早見表として、日本年金機構厚生年金保険料額表にまとめられていますので、給与明細から控除されている厚生年金保険料を見て頂ければ、ご自身の標月が確認できます。
 
 さて、この標月ですが、原則は4~6月に日本法人から支払われる給与の金額を基に決定し、1年間は変更されません。ただし、給与が大幅に変わった場合は、実態に合わせて例外的に変更できることになっています。なお、この手続きを随時改定といいます。具体的には、基本給や手当など毎月固定的に支給されている金額に変更があり、変更後3カ月の給与の平均から算定された標月と従前の標月を比べて2等級以上差が生じた時は、給与変更後4カ月目から社会保険料が変更されることになっています。つまり、給与が大きく変わっても、すぐ変更されるわけではなく、4カ月後から変更されることになるのです。
 
 したがって、Bさんは6月から基本給や手当が下がって、6~8月の給与の平均で算定された標月が従前の標月と比べて2等級以上下がっているのであれば、9月の保険料分から変更になります。なお、社会保険料は原則翌月給与から控除されるため、実際は10月の給与から控除される社会保険料から変更されることになります。
 


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このコラムの回答者

武澤 健太郎
社会保険労務士法人
大槻経営労務管理事務所

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