シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP在宅勤務中にケガ。労災の対象になるの?

海外進出「社会保険・労務管理」

2020年8月3日

Q.在宅勤務中にケガ。労災の対象になるの?

業務遂行性と業務起因性が認められれば対象

 

Q.私は、シンガポールに海外赴任していましたが、新型コロナウイルスの影響により、日本に帰国命令が出て、現在は日本で在宅勤務をしております。そこで質問ですが、例えば、自宅での勤務中にケガをしてしまった場合は労災の対象となるのでしょうか。(Eさん)

 
A. 労働者が通勤や業務中にケガや病気となった場合は、労働者災害補償保険(労災)の対象になります。ただし、労災の対象となるためには、業務遂行性と業務起因性が認められる必要があります。業務遂行性とは、会社の管理下にあったかどうか。つまり、会社で業務をしている時はもちろん、在宅で業務を行っている場合も会社の管理下にあるので業務遂行性が認められることになります。
 
 次に業務起因性とは、病気やケガの原因が業務中であること。すなわち、飲食店で調理している最中に手を火傷したような場合は、業務起因性が認められることになりますが、仕事中に風邪を発症したような場合は、業務と因果関係がないため、業務起因性は認められないことになります。
 
 ご質問の在宅勤務中にケガをしてしまった場合ですが、上記2つの要件を満たせば労災の対象となります。ただし、在宅勤務の場合は、私的行為も混在するため、私的行為が原因の場合は労災として認められません。例えば、雨が降ってきたため、洗濯物を取りに行った際に階段で転んだようなケースです。在宅勤務の場合は、このような私的行為が介在するケースもあるため、個別の案件ごとにケガの原因が業務上なのか、それとも私的行為だったのかを具体的に判断されることになります。なお、労災かどうかの判断は、会社を管轄する労働基準監督署が行うことになります。
 


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このコラムの回答者

武澤 健太郎
社会保険労務士法人
大槻経営労務管理事務所

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