シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP【現代アーティスト】小松 美羽さん

芸能、芸術インタビュー

2020年2月11日

【現代アーティスト】小松 美羽さん


 
 アートに馴染みがない人でも、彼女の名前を一度は聞いたことがあるだろう。小松美羽 ̶日本の風土・伝統文化とアートを融合した、現代アーティスト。神獣を通して「生と死」を作品の中で輝かせる斬新な作風で国際的に高い評価と人気を博している。可憐な外見からは想像がつかない迫力あるライブ・ペインティングも、ファンを増やし続ける一因だ。
 そんな彼女が、2019年12月に1日だけ極秘来星。彼女をプロモートするホワイトストーン・ギャラリーとニューアートホールディングスによる共同イベントに参加した。美羽さんの世界観について、色々と話を聞いた。
 
※このインタビューは、各発言者が個人的見解を示したものです。

PROFILE

小松美羽(こまつ・みわ)

 
 日本の伝統文化とアートを融合して注目を集める現代アーティスト。2014年、出雲大社に作品「新・風土記」を奉納。2015年、有田焼の狛犬「天地の守護獣」を大英博物館が所蔵し永久展示。また、2016年にはニューヨークのワールドトレードセンターに「The Origin of Life」が常設展示。2017年、中国でYoung Artist of the Yearに選出、メゾン・クリスチャン・ディオール≪SAKURA≫のオフィシャルアンバサダー就任。2018年12月、日本橋三越での個展では観客動員数と販売新記録を達成。2019年、世界最大級のアートイベント、第58回ヴェネツィアビエンナーレでの展覧会、それに伴いイタリアのメディア『VOGUE ITALIA』の特集取材、イタリアのTvModa出演、ヴェネツィア国際映画祭VR部門にノミネート、テレビ朝日『徹子の部屋』出演とベストドレッサー賞(学術・文化部門)を受賞し、国内外で活躍がめざましい。
■公式ホームページ https://miwa-komatsu.jp

 

過去に来星されたことは?また、シンガポールにどのような印象を持たれましたか?

 何度か来たことがあります。特に2回目の来星でライブ・ペインティングをした時の体験が印象的でした。描くにつれ、自分の絵に現れた神獣がカラフルだったので、シンガポールはビブラントな国であると感じたとともに、色彩の大切さを学ぶ体験となりました。

 

美羽さんがこれまでの人生で培った死生観やスピリチュアリティは、作品の密接なテーマになっていますがどのように影響を与えているのでしょうか?

 私が育ったのは人口が少ない長野県の小さな街です。自然が豊かな場所で、子供の頃に遊ぶ場所といえば「山か川か?」それしか選択肢がありませんでした。このような環境で夜まで遊んで暗くなると、自然と向き合って“怖い”感覚になることがあります。そんな時、家に帰る道で絶滅したはずの日本狼がどこからともなく現れて、家までガイドしてくれたことが、何度もありました。そして、ある雪の日に狼と歩いた時に、足跡がないことに気づいてしまったのです。「物体があるものではなかったんだ」と悟りました。すると、狼はくるくる回って消えてしまった。この体験が、なぜ私は守られていたのか、なぜ長野で生きてきたのかを考えるきっかけになりました。そして、神獣を描くことで人々の魂とつながること、その魂とは平等なもので、差別のない世界だというアイデアに行き着きました。

 

瞑想から始まるライブ・ペインティングは、ものすごい気迫が感じられるくらいに迫力があります。描いているときには、どのようなことを考えていらっしゃいますか?

 まず訪れた土地の神様に感謝し、そして来場くださったお客様への感謝の祈りから始めます。最初にマントラを唱えて、想像力を司る第三の目をやわらかくします。それから集中して描くプロセスすべてが、瞑想の一部となり、自我を出さずにスピード感をもってキャンバスと向き合っていきます。深い瞑想状態に入っているので、気づかない間に絵が出来上がってしまうんです。これは、自我を捨てたからできることだと思っています。

 

 

美羽さんの著書『世界のなかで自分の役割を見つけること』(ダイヤモンド社)で、「日本という国に生まれたのは偶然でなく、この国が持つ大和の力に助けられて成長し、いずれはその力を世界に向かって伝えるという役割が私にはあるからだと思う」とありました。

 アートを通して“大和力(やまとぢから)”を世界に発信したいと思っています。大和力はすべてを包み込み融合する“和”の力。やまとことばで“和”は自分が複数形で大きくなるのではなく、一人称である“和”に対して多くのものが付属しているというイメージです。例えば日本の着物も“呉服”と言いますが“呉”は中国の言葉ですよね。多くの外来品を着物と結びつけることで、一つの伝統文化を作り上げました。
 
 また、私が描いている神獣の中で、一番好きなモチーフである狛犬は神社にありますが、その起源をたどると旧約聖書のケルビムという神獣に行き着きます。ケルビムがシルクロードにより大陸を東に渡る際、色々な国の文化が融合して、日本では狛犬という形になりました。このように、狛犬一つをとっても、その起源を知るにつけ、様々な国の宗教観や文化を感じることができます。一つの物体から世界の土着文化や、宗教観、他国文化とつながること、これを、大和力と呼んでいます。私は絵の活動を通して色々な国に行く機会があります。それにより自分のルーツを再認識する経験も、大事な大和力になっています。

 

現在のご活動状況と、2020年のご活動予定を教えてください。

 2019年はヴェネツィア国際映画祭VR部門ノミネート、クリーブランド美術館「神道展」ライブと欧米での活動を中心に活動してきましたが、2020年以降はさらに国際的な美術館での展覧会、地域的には特に東南アジアにて現地の方の魂に「祈り」が届くようにしていきたいと思います。

 

 

取材後記
 一語一語丁寧に言葉を選び、おっとりとした話し方の美羽さん。2019年3月に香港で、真白い袴を着た美羽さんのライブ・ペインティングを初めて見た際の、絵の具が飛び散るほどにダイナミックに動く姿との対比が実に面白い。美羽さんの著の一つには“人はみんな役割を持って生まれてきた、世界の中の自分の役割に気づき、それを果たす生き方”がテーマに書かれている。美羽さんの場合はそれがアートだった、と。
 私利私欲ではなく、社会全体のためによいことをする、そこには、多くの人の心を動かす力がある。それが彼女の作品が文化や宗教観を超えて、様々な国の人に愛される秘密なのではないか。

(取材・文/舞スーリ)

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