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法律相談

2020年2月5日

Q.シンガポールでの離婚に関する予備知識

このコーナーでは、読者の皆様 のお悩み・ご相談を、会計・税制、 法律のプロフェッショナルが無料でお答えします。

Q.3年前、私は外国籍の男性と結婚してシンガポールで専業主婦になりました。
 子供も生まれ、シンガポールで幸せに暮らしていました。
 ところが、先日、突然夫から離婚して欲しいと言われました。
 話し合いを続けましたが、離婚は避けられないようです。
 シンガポールの離婚手続は日本とは異なるのでしょうか?

A. 日本と決定的に異なるのは、シンガポールでは協議離婚が認められていないことです。そのため、仮に夫婦が話し合って離婚を決めた場合であったとしても、離婚を成立させるためには裁判手続を経る必要があります。
 
 シンガポールの離婚裁判手続は、離婚請求手続(Dissolution of Marriage)と付帯請求手続(Procedure for Ancillary Matters) の2つに大別されます。離婚請求手続では、裁判所が夫婦の婚姻関係が破綻しているかどうかを判断します。付帯請求手続では、夫婦間の財産に関する取り決め(財産分与、配偶者に対する離婚後の生活費)や、子供に関する取り決め(養育費、親権、監護権、面会交流)などを決定します。
 

Q.夫は日本ではなくシンガポールで離婚請求手続を進めようとしています。
 こんなことは認められるのですか。
 また、結婚してから数年しか経っていない場合、離婚することはできないと聞きましたが本当ですか?

A. シンガポールで離婚請求手続を進めるためには、離婚請求時に夫婦のいずれか一方が永住意思を持ってシンガポールに住んでいるか、離婚請求時までの過去3年間シンガポールに常居所地を有していたことが必要になります。したがって、永住の意思をもってシンガポールに住んでいる夫からの離婚請求の場合、シンガポールで離婚請求手続が進められる可能性は十分にあります。
 
 また原則として、婚姻から3年未満の早期離婚は認められていません。但し、例外もあります。離婚請求をする側が著しい苦痛を受けている場合や、著しく不合理かつ残酷な仕打ちを受けている場合、早期離婚が認められることがあります。例えば、夫がメイドや近親者、不特定多数の者と浮気をしていた場合に、早期離婚を認めた裁判例が存在しています。
 

Q.離婚した後も夫から生活費を受け取れると聞いていますが、本当にそんなことができるのでしょうか。

A. 原則として、日本では妻が結婚を機に専業主婦になった場合であったとしても、離婚成立後、夫は妻の生活費を支払う必要はありません。しかし、シンガポールでは原則として、夫は離婚成立後も一定期間、妻の生活費を支払う必要があるとされています。通常、離婚後の妻に対する生活費の支払額は、夫婦双方の収入、夫婦の資産額、家計への寄与度、離婚後の生活状況、婚姻時の生活水準、夫婦の年齢、婚姻期間、などを総合的に考慮して決定されます。
 
 毎月の生活費の額を立証しなければならないのは妻側になります。食費、光熱費、日用品費など、生活費の額は実額ベースで決定されます。したがって、これらを現金で支払っている場合には領収書を保管しておく必要があるので注意してください。クレジットカードを利用して支払をしている場合は、記録が残っていることが多いので、比較的立証が容易になります。
 

Q.夫が浮気をしていたようで、離婚を決意しました。
 シンガポールで慰謝料を請求したいのですが、認められますか。

A. 日本で離婚をする場合は、原則として、不貞行為をした配偶者に対する慰謝料請求が認められます。しかし、シンガポールでは慰謝料請求が認められるケースは稀となっています。他方で、不貞行為は離婚事由となり得ます。もっとも、配偶者の不貞行為を認識してから6ヵ月以内に離婚請求手続をしない場合、当該不貞行為を理由とする離婚請求は認められないということも注意すべき点と言えるでしょう。
 

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日本法弁護士・シンガポール外国法弁護士 山本裕子

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