シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP第7回 シンガポールでできる相続対策、生前贈与

働く人のための資産運用講座

2019年8月26日

第7回 シンガポールでできる相続対策、生前贈与

 ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。日本では相続税や贈与税の最高税率が 55%と非常に高くなります。しかし、世界には相続税がない国が多くあります。たとえば、シンガポール、香港、スイス、オーストラリアなどです。

 

 相続対策のために家族全員でシンガポールに住んでいる人もいます。相続税・贈与税に関する「10 年ルール」というものがあり、あげる側ともらう側の両方が海外に移住して、10 年超待てば、国外財産に関しては、原則的に日本の相続税や贈与税を課せられずに済む、というものです。

 

 国外財産ということがポイントで、日本国内の金融機関にある預金や日本の不動産、海外の銀行にある日本株(本社の所在地が日本)なども国内財産になるので日本の相続税から逃れられません。シンガポールの金融機関にある米国債や預金などは国外財産に当たるので、渡す前に税理士に相談をして、外債などに資産を変えてから実行する人も多いようです。

 

 多くの人にとって 10 年間もらう側と渡す側と両方が海外に住むというのは大変なことです。そこで、日本のルールのもとで生前贈与を考える家庭も多いです。具体的にいえば、贈与税の基礎控除である年間 110 万円の範囲で子供や孫にお金を渡すなどです。子供の生命保険料を親が支払う(基礎控除内の少額で)という形にしているケースもよく見かけます。シンガポールでは養老保険の契約者になれるのは一般に 16 歳以上なので、子供の年齢が 16 歳以上の場合は子供が契約者となることができます。16 歳未満の場合は子供が被保険者となって親が契約者となります。子供の年齢が 16 歳以上で契約者変更も可能ですが、このパターンだと解約返戻金の価値で贈与税がかかる場合もあるので注意が必要です。

 

 また、生活費や教育費などは親や祖父母が支払うことは社会的通念と考えられており認められています。富裕層がインターナショナルスクールなど高額な学校に小さい頃から子供を入れるのは教育費であれば支払えるという理由もあるからでしょう。また、ボーディングスクールやアメリカの私立大学など授業料が天文学的に高い学校の学費も支払うのにも理由があるのかもしれません。

 

 税金のことは全て要件を満たさないと、適用されないこともあるので事前に税理士など専門家にしっかりと相談をすることをオススメします。欧米人などは税理士や弁護士など専門家に対して報酬を支払う文化ですが、専門家の情報や情報を得た方がトクをすることも多くあります。

 

著者プロフィール
花輪 陽子(Yoko Hanawa)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
(国家資格)CFP®認定者

『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』 (講談社+α新書)など著書多数。「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多い。
http://yokohanawa.com/Twitter:@yokohanawa
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この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.349(2019年9月1日発行)」に掲載されたものです。

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