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座談会

2019年3月7日

現代女性に”起業”という新しい生き方を提案する – 世界へ羽ばたけ、女性起業家たち

AsiaX:今後の展開について。何か新たに思うことは。

 

山村:藁でもすがる勢いで飛び込み営業したり、めいっぱいアポ入れて人と会って日本でここまでやったことあったかな、逆にここまでやらないとダメだな、と気づきました。日本に帰ったら飛び込みしたくてしたくてしょうがないくらい。リスト作って片っ端から行くぞ、みたいな(笑)。日本人の方々がすごく好意的に助けてくれて、今後はこちらのイベントや百貨店で(商品を)見てもらえる足がかりができました。2020年の東京オリンピックに向けて、(日本に対する)シンガポール人の感度が高くなっているとお聞きしたので、今年何とかこの傘を持ってきたいです。ただ売ってくれる人より日本人がどういうスタンスでモノづくりしているか、その文化背景を伝えてくれる人を探していたので、日本語も話せるローカルのパートナー(ディストリビューター)とお会い出来てうれしく思っています。

 

吉田:ブランディングをもう一度明確にして、そのメッセージをグローバルサイトにのせるべく早急に体制を整えること。一気にマーケティングや広告にお金を出せないので、ここで繋がった人たちにSNSを使って、WhatsAppとかそういうレベルからですね、3〜6ヶ月ぐらい情報を流して反応を見たいです。パートナーやディストリビューターを探すやり方を当初考えていたのですが、今はブランディングがしっかりできれば、ECなどで直接展開するのもアリだなと思っています。

 

河野:去年の半ばぐらいからこれまでのダイレクトモデルからOEMモデルに方向転換して、今回どのくらいのモデルをスケールできるか調査したんですが、総じて皆さんAIの生産性に非常に興味をもたれている。政府も力を入れたいと思っていて、非常に動きが早いです。日本でフィットしないところに響いてくれます。日本は(従業員の)トレーニングにむちゃくちゃお金をかけていますが、こちらは採用とか評価にノーマライゼーション、スタンダライズしたい、むしろこっちにお金をかけたいと。将来的にやりたいと狙ってたところ、かつ、一歩先のマーケティングテストができる実感とともに早くやんなきゃという思いです。日本でもパートナーシップに切り替えていこうとしていますが、(シンガポールでは)必要であれば法人も考えています。

 

バルドゥッチ:今回、話をしていて日本ではへえ、と聞いてもらえるところが、こちらではシーンとなって、ポイントがぜんぜん違うんだなと思って。皆さん同じこと感じたと思うんですが。あと美容やお悩みの話をするよりも、ウーマンズ・エンパワーリングの話をしてた方がローカルに刺さるんだな、ということ。「ローカリゼーション」を念頭においてブランドコンセプトから見直します。皆さんにグサッと刺さるようなブランドになるためには、(パートナーシップで)ローカルの方の力が必要ですね。

 

関谷:来る前まではもっと受け入れられると思っていましたが、それよりも前にやれることがある。何で(他の東南アジアの製品と)値段が違うのか伝えるために、ソーシャルビジネス、持続可能な部分を掘り下げていきたいな、と思っています。このバッグが出来た背景、この繊維はどうやって作っているのか、違う切り口、かつ一歩進んだ課題解決策としてシンガポールの学生さんや自閉症の人たちと一緒に何かが出来たらと思います。

 

AsiaX:生産性向上につながる、就業環境作りについて。仕事へ
のモチベーションをあげていくために取り組んでいることなどありますか。

 

河野:実はまだフルタイム4人しかいないんですが、関わっているメンバーを入れると160人超。8割以上が女性、海外駐在の日本人主婦の方も多くて、アメリカ、ベルギー、台湾、フィリピンなど海外からのリモートワークです。パソコンすら仕事で使ったこともない方が2割いるので、とにかくITリテラシーのトレーニングが必要。がっちがちにルールひいてネット上から全部できるようにしています。定例会議とか全く経験のない方も多いので、議事録の書き方とかそういうところからリモートで研修を入れたり、あとテストやドリルをやって合格したらその仕事が出来ます、というようなルール作りを徹底して。あと、テキストやボイスチャットでの会議ですね。小さいお子さんがいる方、横でワーワー泣いててその間切ってても、あとでキャッチアップできるようにしたり。でもリモート仕事にはコントロールしにくい、お互いがギスギスするなどの弊害もあります。お互いに顔を見たことのない人間と一緒に仕事する、テキストとメールだけだから全てが怒られているような気がしてしまう。いろいろ解決策を模索したんですが最後はベタベタで。今週は特に顔文字を使いましょう、とか。「これは~~なの?ニコっ(スマイルマーク}とか使ったり。

 

(一同)笑。

 

バルドゥッチ:私のところも主婦の方、私も含めて小さいお子さんがいる方もいて、子供がインフルエンザでお休みもよくある。そういう場合、自宅で働いてもいいようにしたり、時間もフレキシブルにしています。同じ3時間働くのに子供が寝てからでもいいわけだし、お互いにとってメリットのあることをしたい。すごく有能な女性がたくさんいるのに、結婚や出産をしてキャリアを継続できない人が多い。今後そういう方々のモチベーションのポイントをしっかりと理解して、一緒に働いていきたい、とこっちに来て改めて強く思いました。ここはお手伝いさんも定着しているし、日本にはない社会インフラが整っていて、また教育も連動していて本当に素晴らしいですね。

 

関谷:日本では正社員がいないんです。そのつどアルバイトを雇ったりしている。セブ島では来るもの拒まず、去るもの追わずー。

(一同)ええっ!(笑)

 

関谷:でも、必ず戻ってくるの。ちょっと浮気して違う仕事してまたちょろっと帰ってくる。信頼関係ですよね。給料はいいし、工房には何時に来てもいい。一種の「駆け込み寺」にもなっていて、何か書類を書かなきゃいけなくて書き方が分からないときとかここへ持ってきて誰かが代わりに書いてくれる。なんか困った時にもここに来ています。

 

山村:職人さんとの関わりはありますが、従業員がいるわけではないので、まずは自分の生産性をあげる。いかに自分がご機嫌でいられるかをすごい意識しています。関わって下さる方にも最大限関わってもらえるように、私自身の思い、社会的意義とか実現したいことを伝えたり
体現して、関わったら楽しいだろうな、と思ってもらえるようには意識しています。

 

吉田:フルタイムは自分だけで、リモートでアルバイト4人に手伝ってもらっています。今までバリバリ仕事してたのに、いきなりだんなさんの転勤で海外に行くことになったお母さんたちで、すごい優秀なんですよ。でも仕事しないで今、海外でひっそり子育てしている。そういう人たちを積極的に見つけ出していこうと思っています。

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